第43話 ざまぁ完了、侯爵家消去
一方、王都の隅に追いやられた元・名門、アルマンド侯爵家。
「ひ、ひぃぃ……っ」
かつて当主としてふんぞり返っていた父親は、今や見る影もないほどに痩せこけ、薄暗い部屋の隅でガタガタと震えていた。
彼ら一族は、王都の人々や貴族たちからの凄まじい「村八分(神への不敬罪の連帯責任)」を受け、財産をほとんど没収されていた。
それだけではない。
「あのアッシュ神を、魔力ゼロの無能と評して追放した愚か者」
「神の肉体の親だという驕りで、呪印を用いて縛ろうとした大罪人」
そんなレッテルを貼られたアルマンド家は、今や異端教団の残党よりも酷い扱いを受けている。
「な、なぜだ……どうしてこうなった……。あいつは、ただの出来損ないのハズだったのに……」
彼には、まだ理解できていない。
旧文明の純血遺伝子という『管理者権限へのアクセスパス』を持って生まれたのがアッシュであり、その代償として体内魔素(通常の魔法)の生成機能が削ぎ落とされていたのだということを。
「当主様……」
残った数少ない使用人が冷ややかな目で告げる。
「本日も、教団の者(熱狂的な市民)から我が家への石投げがありました。窓を割られ、食料も買いに行けませぬ」
「お、おのれぇぇ……アッシュめ!! こうなれば、刺し違えてでも──」
ズドォォンッ!!
その時、侯爵邸の重厚な扉が、外から物理的に蹴り破られた。
「神聖魔法省・アッシュ教異端審問局である!!」
現れたのは、かつてアッシュの『ルートミュート』を食らって以来、彼の絶対的な信奉者となったゼノン査察官……もとい、ゼノン異端審問官だった。
「ひっ!?」
「アルマンド侯爵! 貴様が未だに我らが神(アッシュ様)への冒涜的な怨嗟を抱いていることは、魔素ネットワークの乱れ(周辺住民の密告)により既に把握している!」
ゼノンは狂気に満ちた目で、杖を父親に突きつけた。
「き、貴様ら……! 仮にも神とやらの血を引いた親族に向かって──」
「血縁だと? 笑わせるな! 神は我々等しく遍く民の父であり、貴様の遺伝子など神が地上に顕現するための『仮の器(デリバリー用の箱)』に過ぎん!」
狂信者の論理は無敵だった。完全に物理学や生物学をねじ伏せている。
「連行しろ! 神の慈悲にすがり、一生をかけて北の果ての開拓地で罪を償うがいい!」
「やめろぉぉぉっ! アッシューーーッ!!」
かくして、かつて主人公を「無能」と見下した愚かな実家は。
主人公本人が手を下すまでもなく、彼が作り上げてしまった『狂信者たちの熱狂的なシステム』によって、完全に社会から【消去】されたのであった。




