77.薄れゆく孤独
「ルル、帰った」
ペロージアが家に帰って来た時にはルコウやリリィはすでにおらず、ルルディ一人になっていた。
ルルディはペロージアの帰りを待っていたようで、玄関入ってすぐに椅子を引っ張ってきて本を読む途中で体力が尽きたのだろう座ったまま眠っている。
「寝てる」
ぴぴちっ
金色の小さな鳥がどこからか入り込んできて、ペロージアの肩に止まった。
小鳥が何かをささやくと、ペロージアはうんざりした様子で小鳥を手で払いのけた。
小鳥が騒ぎ出すとペロージアが手をぎゅっと握った。その瞬間、小鳥は何かに握りつぶされたかのように圧縮され、消えてしまった。
(元老院のジジババどもは本当にうるさいな……)
ペロージアはルルディの膝にのる本をてきとうにそこらへんに置いて、ルルディを横抱きにして持ち上げた。
寝室まで連れて行き、そっとベッドに寝かせる。
ペロージアもいつも通りに一緒にベッドで横になる。
ルルディを抱きしめると赤子のように温かな体温が伝わってきて心地よく感じた。
「疲れた……今日はびっくりした……もし、ルルがいなくなっていたら……間に合ってよかった」
「おね、さま?」
「起こしたね」
「おかえりなさい」
ルルディは寝ぼけてぽやっとした顔で微笑んだ。
「ルル、今日もボクは頑張ったと思わない? ルルを治して、あのブスに魔法まで教えてやった……」
「お姉さまはいつも頑張っていますね……でも、アリィは可愛いですからね」
「あいつ、自分が呪われているって喚くから何かと思ったら、魂が見えるんだってさ、だから呪われてるって」
「魂? そうなのですか……」
「魂……って、よく母さんのもとに還るって聞くだろう? ボクにもあるみたいだから、ボクが死んだら、母さんのとこいけるのかな……」
「お姉さま……お母さまのことが恋しいの?」
ペロージアの瞳をじっとルルディが見つめるが、恋しいか?という質問をされて親を求める子供のような無垢で悲しい感情は彼女からは読み取れなかった。
それがルルディの心をかりかりと引っかくような小さな不安を感じさせた。
「ボクが恋しいって言ったらどうするの?」
「……」
ルルディは少し起き上がって姿勢をずらし、ペロージアの頭を引き寄せて胸にうずめさせた。
「わたしなんかがお母さまの代わりだなんて、天地がひっくり返ってもできることではありませんが……せめてこれくらい……」
ルルディは「いいこ、いいこ」とささやき、優しく、愛おしい子を抱くように、ペロージアの頭を撫で始めた。
ペロージアはルルディの行いが理解できないものの、胸が苦しくなるほど詰まるような感覚がした。
苦しいはずなのに満たされていくようなそんな不思議な感覚が、ペロージアの瞼をゆったり重たくする。
(あったかい、苦しい、気持ちがいい、変な感じ…………)
ペロージアは胸の奥の冷たい塊が溶かされるのを感じ、まどろみながら心地の良い温かさに抱かれ、ゆっくりと目を閉じた。
二人はいつもぎゅっとして寝ています_(:3 」∠)_かわいいね




