Laser!
瑠、やっぱキレイだよなぁ。
そんなこと言ったら本気でブッ飛ばしにドイツに来そうだ。
スマホの待ち受けにしてみた。
チームメイトに「彼女?」と聞かれる。
えへへと本気で照れちゃう。
・・・これもバレたらブッ飛ばされる案件。
ドイツはサッカー選手にフレンドリー。
クナイペではよく
「Kann ich dir ein Bier ausgeben?」
と声をかけられる
一緒にいるのがカールスルーエの選手だと確率は跳ね上がる。
まだドイツでは無名の僕も「Danke!」からの「Prost!」
これくらいは分かるようになった。
訳すと居酒屋で飲んでたら「一杯奢らせて」と言われて「ありがとう!」からの「かんぱーい!」って感じ。
カールスルーエでは、意外にも僕は、2番手のゴールキーパーとして迎えられた。
メンバー表にも名前が載るので、サポーターにも顔は知れて来てはいる。
1番手はサポーターに愛されているベテランゴールキーパー。オリバー・カーンとはタイプが違うが、バネのある体を使ったセーブは迫力がある。僕は彼と同じメニューをこなし、いつ出場してもいい準備をする。
コーチングはドイツ語か英語。どちらもできない日本人の僕に、1番手の彼はとても丁寧に教えてくれる。自分の持っているものを惜しみなく差し出してくれるのに感動した。
「でも、ドイツ語を使った方が、サポーターは喜ぶよ」と彼は笑った。
「Danke!」とドイツ語で答えた。これ、便利でよく使うやつ。彼にはもう100回くらい言ってるw
ドイツ語の指導は契約についていたし、通訳は元々いたのでクラブでは苦労はないけど、「孤独」を感じるのは、スーパーだったりする。REWEは地元で言うと「ヤオコー」見たいな感じで便利。
でも、最近はセルフレジばかり使っている。
誰とも話さなくて済むから楽だけど、帰り道に「今日、一言もしゃべってないな」と気づく。ヘッドフォンして「センパーセーン」とか、日本語英語な曲を聴きながら、ここからW杯を狙う気持ちで孤独を追い払ってる。
そう、僕の目標はW杯に決めた。
だから、1年でスタメンを取り、日本代表のゴールキーパーを取る。ゴールキーパーの枠は少ない。でも、僕はゴールキーパーを選んだんだ。だから、唯一無二の選手になると決めた。オリバー・カーンのいたクラブで、胸を張ってプレーできるゴールキーパーになりたい。
今更だけど、「夢を始めるのは今」ってかあちゃんから教えてもらったから。
かあちゃんと言えば、
渡独にあたって契約外で色々費用がかかったんだけど、かあちゃんが
「ほい」っと通帳を出してくれた。
驚く金額で「何これ?スーパーのパートでこんなに貯めたの?」と聞くと
「とうちゃんの保険金だから、君のもん」
「とうちゃんの保険金は、かあちゃんのじゃん」
「かあちゃん死んだら君のだから、先払い。相続税かかんなくていいじゃん」
おかげで小さな中古車も買えた。クラブまでの移動に重宝してる。とうちゃんが自動車事故で亡くなってるんで、免許取る時、ちょっと緊張した。かあちゃんに反対されるんじゃないかって。でも、
「君の人生を曲げる理由にはならないよ」と、快諾してくれた。
そーゆーとこ、うちのかあちゃんは男前だ。かっこいい。
部屋に帰るとやることは日本と一緒。
少し広い部屋になったくらいで、やっぱり一人だからね。
ピラティスをしてシャワーを浴びて寝るだけだ。
そうそう、これは連絡しよう。
「かあちゃん、実は嬉しいことがあったんだ。画像、送るよ。」
画像には「Willkommen, Zuki!」の横断幕。
僕はサポーターに「Zuki」って呼ばれてる。
僕が蹴る時「Zuki!Zuki!Zuki!Laser!」って声が上がる。
僕のロングフィードに期待をしてくれているんだ。
「Zuki」で良かった。「Suzu」と上の方を撮られたら「Suzu Laser」
赤い芸人さんみたいで、律のいじりのネタになるとこだったw




