53 ー仲間ー 心優しき旅の道連れ
試験は翌日との事で、簡単な打ち合わせを済ませてから俺たちはギルドを後にした。
(「ゴルゲットって跡継ぎに譲れるんだ! 初めて知ったよ、師匠」)
(『あくまで高位冒険者に限った特例だ。一人にしか継承できないし、実力もない未熟者に渡したら、そいつはすぐモンスターに殺されてしまうだろう。情実だけでは決められないから、難しいんだよ。いい加減な判断は出来ん』)
(「それから小人族の冒険者って、やっぱり少ないんだ?」)
(『そうだね。俺も今までに見かけたのは数人だし、受ける仕事はいつも危険の少ない無難な案件ばかりだったなあ……』)
要するにランクの低い者ばかりだったのだ。最初見かけたとき、俺などは貧民街出身の子供が将来冒険者志望で、下働きとして便利に使われているんだろうと勘違いしたほどだ。
最下等級の〔レッド(鉛)〕級は見習い扱いで、それより上だったとしても
〔カッパー(銅)〕級の保持者がせいぜい。仕事はギルド施設内の雑用、外への派遣があっても、ドブ掃除や薬草採取といった地味なもばかりだ。
冒険者への認識は〝対モンスター・魔物狩り専門の傭兵〟というのが一般的だから、ハーフリングが軽視されがちなのも已むを得ない。
成人であってさえ人間の子供に毛が生えた程度の筋力しかないし、もっとも冒険者に向かぬ種族とされている。
一方、ドワーフなどは背が低くても筋骨隆々。怪力の持ち主であり、身体能力の高さゆえに上位で活躍できる者が多い。さらに彼等は古から製鉄・鉄工技術を代々受けつぎ研鑽を重ね、優秀な鍛冶師として評価される者たちを多数輩出している。
ホテルに帰りつくと、シェスは先に戻って待っていた。俺(たち)が明日の予定を告げると彼女は「自分もついて行きたい」そう言うので快く了承した。
もうすでに仲間だ。
このコロンポルまで着く間の5日間。
夜がくるたび、俺たちは小さな焚き火に向き合い人間と亜人について……我々は種族は違ってもみな同じ創造主の被造物で、平等の価値ある存在だということを語りあった。
その過程でウルも俺もシェスの純真で温かい人柄に触れるうち、だんだん彼女が好きになっていった。
彼女は男っぽい口調、雰囲気や態度を取っているであろう俺の意識が表面に出ている時も、一貫してウルの事を歳相応の女児として対応し、丁寧で優しい語り掛けに終始した。
そうしているうち、もっぱらウルの意識が表面へ出て彼女と話すようになった。
ウル自身が彼女を慕うようになっていたし、なによりシェスとの会話はその内容も相まって少女の情操教育上とても良い。そう判断しからだ。
――従って、ウルが俺の意識を表面に出そうとしないのは、別に障壁となって彼女との接触を阻みたいからじゃあ、決して無い。
俺もシェスが気に入ってるが、それは異性に惚れる感情とはまったく別ものだ。
(「シェスは師匠の〝すとらいくぞーん〟からぜんっぜん外れてるから。安心できるね」)
(『またキミはそんなっ……彼女は見習いとはいえ神官さんだからね。清楚で汚れないし、純粋に護ってあげたいとは思うけど。俗物的な恋愛感情の対象にはなりえないな』)
(「そうそう。ぞくぶつっぽい方は、もっと別の女の子とすれば良いと思うよ」)
だそうで、キレイな関係はウルのお墨付きでもある。




