お姫様と魔女のサシ飲み
体調を崩して更新が遅くなってしまいました。
少し良くなったので、なるべく投稿を続けていきたいと思います。
よろしくお願いします。
「だそうだけど、おじさまとおばさまは反対かしら?」
「いやぁ……」
「突然過ぎて、何も考えられないわ。」
「だって。どうする?」
リリはレベッカに問いかけた。レベッカは揺るがない。
「私は、反対されても何度だって説得するわ。彼といられるなら、なんだってする。」
みな黙ってしまった。ジェフもリンダも、別に反対したいわけではない。相手がエリオットというのが意外過ぎるが、レベッカが結婚したいと言うのなら、そうした方がいいと思っている。
「ま、何にせよ、明日にはリチャードから召喚状が届くでしょうよ。お二人も、それまでには結論を出してくださいね。」
「ええ……」
「分かった。」
「さって!子どもは親に預けて来たし、レベッカ、たまには飲まない?リチャードからもらったワインがあるのよ!今日は泊まってもいいわよね?」
「ええ、もちろんよ。」
「リリちゃん、夕食とお風呂は?」
「家で済ませたわ。ワインは二本あるから、ひとつはお二人でどうぞ。」
リリは持ってきた鞄からワインの瓶を取り出す。二本も持ってくるなんて重かっただろうに、微塵も感じさせないリリの軽やかさがレベッカに眩しく映る。
「ありがたくいただくよ。」
リリは笑って構わないと手を振ると、先に部屋へ戻った。レベッカは両親に一度頭を下げると、ワイングラスとおつまみのチーズとナッツを用意して、リリの待つ部屋へと階段を上がって行った。
「お疲れさま!とりあえず、第一のミッションは終了ね!」
「リリ、ありがとう。私、リリに助けられてばかりね。」
「そんなことないわよ!アタシだって、たまに子ども預けちゃうし、お世話になってるんだから。」
「リリがそんなこと言うの、めずらしい。まだ飲んでないのに酔ってるのかしら?」
「勝利という美酒は何よりも人を酩酊させるのよ。はぁー!リチャードに借りを返せるのが嬉しくってたまらないわ!時々思い出したようにネタにされて、正直面倒くさかったのよね。」
「勝利?」
「だって、あの二人が反対するとは思えないもの。今は急な話に戸惑っているだけよ。安心しなさい、アンタの勝ちよ、レベッカ。アタシはいつだって、勝ち馬にしか乗らないんだから!」
リリはレベッカの持ってきたワインオープナーに手を伸ばす。母になっても小さく細い手でコルク栓を開けた。トポトポと高い位置からグラスにワインを注ぐ。
「リリは、あんなにたくさんの人を巻き込んでまで婚約破棄したのに、私に何とも思ってないの?」
「思ってないわよ。と、言いたいところだけど、心配ではあるわ。アイツと結婚するなら、きっとアンタは支店のある街に行くでしょう?流石に目が届かないところに行かれるとね。気にもなるわ。」
確かにそうだ。レベッカはそこまで考えていなかった。自分の浅はかさを恥じた。
「そこまで考えてなかった……私、本当に勢いだけだったわね。」
「まあ、アンタの仕事はどこにいても出来るし。アイツも仕事はマトモにやってるみたいだし?生活については問題ないんじゃない?」
「ここを離れるってことをよく考えてなかったの。みんなと離れるのは寂しいわ。」
以前はそれをエリオットに強いたのだ。申し訳なくなった。
「アイツはそこまでここや家族に思い入れなんてなかったでしょ。話し合い次第ではアイツをこっちに戻すかもしれないし、そんなに不安にならなくったって大丈夫よ。」
「そうね。」
リリがワイングラスを持ち上げた。レベッカもそれに倣う。
「乾杯!」
「乾杯。」
二人は同時にグラスに口を付けた。
「このワイン、おいしい。」
「リチャードが自宅に隠し持ってたヤツよ。今、アイツはウチにいるから、ここに来る前に寄って、こっそりくすねてきたの!」
「さっきはリチャード様からいただいたって言ってたじゃない。ウチの両親が知ったら、大騒ぎよ。」
「構わないでしょ。飲んじゃったら何も残らないわ。」
「構うわよ!特にお父さんはリチャード様に恨まれてるのかもしれないって言ってるし。」
「ああ、ウチの子たち、おじさまに懐いてるから嫉妬してるのよ。ただの言いがかりだから、無視していいのよ。」
「もうっ、リリったら!」
二人は笑い合った。笑い声は両親にも届いていることだろう。私はもう笑えるから、何も心配はいらない。レベッカは、二人にも安心して欲しかった。心から、祝福をして欲しかった。
ありがとうございました!




