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朝起きたら、宇宙征服者の姫になってた!  作者: 七月 夏喜
最終話 新たなる旅立ち
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その5



 「間に合え、間に合え、間に合え、間に合え!!」


 玉座のフロアで璃緒は叫ぶ。猛スピード降下する『ゼブラ』は、二つの脚を出した。


 「ゼブラ、あの二つの池に跨がって降りて!」


 スクリーンを見つめ、指差して璃緒は叫ぶ。


「あんまり、壊さないでよ!!」


「最小限に留める」


 『ゼブラ』の下部の突起二つが細長く変形していく。やがて市民がよく集まっていた公園内の『鶴亀池』に太い棘が刺さった。逃げることが出来なかった魚や亀たちが放り出される。池の水は大気圏から怒涛の速度で降りてきたその棘の熱さゆえ、一気に沸騰し蒸発した。地面はさらに割れ、深い溝ができる。もう一方は中学校のプールに着水し、割れながら全ての水が気化する。

 『ゼブラ』の躯体はしなやかに次の命令に備えた。


 ふわりと一度跳び上がり、踵をしっかりフロアに突ける。そして璃緒は腰の光剣を横に握り絞めた。


「ゼブラ、そのまま構えて!! 隕石がこれと真横になったら!!」


 両眼を赤く染めた璃緒は目尻を上げ、スクリーンに映る一点を凝視する。


「光剣であいつを貫く!! ゼブラ、街の人の安全を確保!!」


「承知。破壊全域に保護シールドを展開」


 ひと呼吸あったかどうかの刹那。


「隕石、光剣と同位置」


 腰を据えて両手で剣を突き出す。轟音とともに『ゼブラ』の持つ光剣は、一直線にそこに向かって速射した。


「行け、私の大切な人たちを、守ってぇぇー!!!!」



 巨大な二足の黒い物体から放った光剣の一筋の線は、砂塵と瓦礫を舞い上がらせながら邁進する。

 それは落ちてくる隕石を凄まじい勢いで真横から貫いた。風の勢いが一気に変わる。その影響で、建物の一部が崩れ落ちる


「隕石に到達、光剣貫通。炎爆風、シールドにて吸収完了」


「まだ、こ、ここから!!」


 璃緒は腰を落として両腕で弓の様にしなる光剣を支えた。その手は大きく震える。


「う、宇宙に……、も、戻っ……、てぇええ……、重いいぃ……!!」


 渾身の力を入れるが、この状態から微動だにしなかった。


「ち、力が……、出ない」


 握り締めている柄が震え、その重さに思わず落としそうになる。と、その腕はがっちりとした金属の手に支えられた。だがそれは直ぐに放電によって弾かれる。しかし、それでもその手は璃緒の腕を掴もうとした。


「アデン、手が……」


 何度も震える手を掴みかけるも『ゼブラ』は許さない。そうしている間に璃緒の腕は徐々に下がっていた。


「ゼブラ!! なにケチくさいことしてるのよ! あなたの規則みたいなのはわかるけど、一回ぐらいいいじゃない!!」


 半ば腰が砕けそうになって剣を支えている璃緒は毒つく。幾分フロアの放電が戸惑うように緩くなった。アデンは右手で璃緒の左腕を支える。青白い放電は今度は弾かず、アデンの腕ごと周囲を取り巻いた。


「光剣を持ち上げてぇ!!」


 ここで持ち上がる筈だが、その重さに変化がない。


「どうして、持ち上がらな……」


 隣に口を尖らせるアデンがいた。メタルアームは璃緒の腕を支えているが、そこから微動だにしない。


「ちょっと!! アデン、何してるのよ。加勢してよ!」


「ちゃんと姉と呼ばぬか」


「はあ? 今、そんなこと言ってる場合!?」


 璃緒は呆れて顔が歪んだ。


「ゼブラも含めて宇宙って、変な輩ばっかりなんだから!!」


 手が千切れそうに痛みが走ってくる。噴出す汗に瞳が開けられない。


「もお! お姉ちゃん! お願いだから手伝って!!」


 メタルアームの勢いが璃緒の両手の力を半減させた。


「……愛い妹め」


 アデンは右手を璃緒の手に重ね合わせる。一段と力が剣に籠った。見つめる瞳に璃緒は頷く。


「宇宙に放り出す!!」



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