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朝起きたら、宇宙征服者の姫になってた!  作者: 七月 夏喜
第5話 璃緒とカレン王妃とザベリン王の真実
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その6


 陥没していく表層の下からゆっくりと角たちが、時として流体になり、うねりながら這い上がって来ていた。その尖端から放電しながら角の羽を広げ、雄叫びを上げようとしている。その姿に、リュークは半ば恍惚した表情で見入っていた。


「『怒れる雷』」


 突き出した角はアイリス星の地表に『怒れる雷』を放ち続け、あらゆるものを一掃し、壊滅した地下都市を押しつぶしながら上昇している。


「やがて漆黒の征服破壊要塞が地表に浮上する。古より受け継がれてきた呪わしき遺産。起動したならば、この世界の終わりが来る」


 隣で険しい顔で睨むアデンの顔があり、その拳が震えていた。


「あの『雷』は、地表はおろか星全体も砕き貫いていく」


 地面が大きく振動し泥沼のように地表が波打ち、全員が足元を掬われる。


「いったい、どのようにすれば、あれを止めることができるのでしょうか」


「簡単だ」


 不敵な程、アデンは口角を吊り上げた。


「あの翼に近づいて乗り込み、リオンを正気に戻して、あ奴に『ゼブラ』を静止させる」


 その場にいる誰もが、その発言に目を丸くして固まる。


「無茶だ。あんな落雷の中、地面も陥没しているのに近づけるか。いくら隙間を縫って行こうとも、歩いて辿り着かないよ」


 悲鳴に近い声でカラトバは横から叫んだ。


「誰が歩いて行く、と言った」


「じゃ、じゃあ、どうやって」


「おまえのシュナイダーで、正面から翼へ高速で突っ込む」


 聞いた男はひっくり返る。


「幸いシュナイダーはバリアが張れる。『ゼブラ』のすぐ側まで辿り着けば、さすがに『雷』も出来まい」


「む、無理だ……」


 そしてアデンは鼻息を鳴らした。


「リオンが正気を取り戻さず、我々に気づかなければ、それまで。気づけば、あ奴は『ゼブラ』を治めることが出来るだろう」



「なんと、大胆な」


 リュークはその思い切った考えに驚嘆し、メイラムに目配せする。


「では我々も、お供いたします」


 男とメイラムは頭を深く下げた。


「お、おい!! ちょっと、アデン! 僕のシュナイダーを壊す気か!」


「多少の間違いであっても、おまえがリオンをここに連れてきて、覚醒させたのだ。男として責任を取れ」


 状況を楽しむが如く、彼女は大笑いをする。


「君は正気じゃないぞ!」


 今度は顔を真っ赤にしてカラトバは怒号した。


「転送は私の艦より、シュナイダーへは遠隔操作が可能です」


「だったら直接、それで行けばいいじゃないか!」


 叫ぶ男を横目にリュークは姿勢を正す。


「先程付近を調査しましたが、『ゼブラ』の放電界は装置の限界値を乱す状態です。転送すれば足が着く前に、身体は消し飛びます」


「そ、そんな!!」


 叫びを通り越してカラトバは、またしても絶望の悲鳴を上げた。


「ではカラトバ殿、エンジン始動をお願いいたします」


 目を伏せ頭を下げてリュークは声を掛ける。


「お、おい! 誰がそんな事に……」


 止めるような仕草のカラトバの姿が、一番先に消えていった。


 荒れ狂う放電は、天空をも切り裂いている。


「今でなくとも、いずれはこうなったかも知れんがな」


 アデンは呟く。


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