↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んだはずの俺は言われた。『あなたもその事故の原因です』  作者: 神北 緑


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/11

第4話 第四世界という選択


俺が死んだ事故。

その原因は、あのチャラ男。


……とはいえ。


事故は事故だ。

故意じゃなければ、ただの不運だろ。


なのに。


天使の言い回しは、どこか引っかかる。


まるで――


「先にお伝えしておくべきことがあります」


俺の思考を遮るように、天使が口を開いた。


「魂とは、“器”を持ち、三つの世界を循環する存在です」


また、説明か。


正直、半分くらい頭がついていかない。


隣を見ると、チャラ男は明らかに顔色が悪くなっていた。


対して、あの女性は――



変わらない。



「魂は増減を繰り返しながら、三世界を経由して輪廻します」


「分かりやすく言い換えましょう」


わずかな間を置いて、天使は続けた。


「第一世界は“天国”」


「第二世界は“地獄”」


「そして第三世界が──あなた方のいた“現世”です」


……なるほど。


つまり、俺たちは前世の結果で行き先を決められる、ということか。


「違います」


即座に否定された。


……やっぱり聞こえてるだろ。


「ここは三世界のいずれにも属しません」


「そして“行き先を告げるだけの場所”でもありません」



その言い方に、少しだけ背筋が冷える。



「本来、魂は因果によって複雑に絡み合っています」


「しかし、それが歪なままでは――次の器に収まらない」



……何を言っている?



理解しようとすればするほど、逆に遠ざかっていく。



ふと見ると、チャラ男は完全に黙り込んでいた。


さっきまでの強気は消え、

ただ青ざめた顔で話を聞いている。



女性は。



やはり、動かない。



「そこで、あなた方のような“歪んだ魂”には」


「再定義と、整形の機会が与えられます」



……整形?



「あなた方に付与される“真逆の運命”」


「それは第四の世界において行われます」



第四の世界。



その言葉の響きが、妙に重かった。



「そこでは絡み合った因果を解き」


「偏った魂を均す」



均す、か。



要するに――


「……俺たちは、このままだと輪廻に戻れないから」


「一度“調整される”ってことか?」



口に出した瞬間。



天使が、わずかに笑った気がした。



「その解釈で問題ありません」



認められた。



その事実が、逆に気味が悪い。




「そして、もう一つ」



空気が変わる。



今までとは、明らかに違う重さ。



「これは非常に重要な前提です」



――嫌な予感がした。



「今、説明してきた内容はすべて」


「“自ら器を放棄していない”ことが前提です」



……え?



「つまり」



わずかに間が落ちる。



「自ら生を絶った者は」


「第四世界への移行も」


「輪廻への復帰も許されません」




……。




「その魂は消滅します」




音が、消えた気がした。




「苦しみも、恐怖もありません」



「ただ、存在が無くなるだけです」




その瞬間。




――ガタッ




初めて。



あの女性が、大きく震えた。




今まで一切動かなかった彼女が、


まるで何かに怯えるように。




……天使が、そちらを見た気がした。




いや。



“見ている”。




明確に。





――まさか。





この中に。





“それ”がいるのか?





その答えを確かめる前に──




俺たちは。




この後、信じられない話を聞くことになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。