第一章 沈まぬ太陽 第六話
対魔物への対策については、前回はこうだったから今回も、という考えは通用しない。現象は同じに思えても、生まれた心が違うからだ。
だから結局のところ前回太陽が沈まなくなったきっかけがはっきりしていたら早期対応が可能だったかと言われたら、別にそうではない。それでも毎日頭を悩ませている透路のヒントくらいになりはしないかと、専門ではない歩真なりに考えた結果振った話題だった。
だがそれも、先人たちもよく分からないまま解決した、ということを改めて確認することになっただけで終わった。
「ちょっと気になったんだけど、あの太陽って動いてるのかな?」
やっぱり自分たちが虱潰しにやっていくしかないか、と現段階で関連を疑われている場所を透路に確認しようと二人が口を開きかけたタイミングで、今度は透路が疑問を唱える。
あの太陽、とは今まさに問題となっている沈まぬ太陽のこと。
本来ならば太陽が昇って朝になり、沈んで夜となる。それはつまり、刻一刻と少しずつ太陽が動いているということだが、今は昇ったまま沈むことがない。
「そっか……動いてないなら、太陽の位置が重要になるかもしれないってこと?」
「太陽の位置?」
何かに思い至ったらしい累水とは反対に、歩真は首を傾げる。
普段から後方支援として頭を回す機会も多い累水と違って、歩真は立てられた作戦に従って確実に魔物を倒し、浄化することが仕事だ。臨機応変の判断力は求められるものの、そもそも考えること自体があまり得意ではない。
今回も多少は考えようと思考を回したが、早々に諦めて二人の聞き役になった。
「うん。こうなった日からずっと太陽が動いてないんだとしたら、その位置にあり続ける理由があるのかも」
「その位置から太陽が照らしたいものは何かを探るのが解決の糸口になりそうだね」
「でも日照時間は参考にならないし……僕たちも外を歩き回って、感覚で調べていくしかないかなぁ」
「ずっとそこを照らしてるなら熱くなってそうだし、温度を測って歩くとか……?」
「感覚よりはマシ、かも?とりあえず戻ったらみんなに共有して、今後の動きを考えるよ」
一切口を挟まず話の行方を聞いていれば、最初はピンと来ていなかった歩真でも二人の考えが分かった。
太陽がずっと動かずそこにあるのなら、その位置から照らしたいものがあるはずだ。
沈まぬ太陽が一番照らしたいもの。恐らくそれは今回の核となるもので、その場所さえ分かれば歩真たちがすぐにでも浄化に向かえる。
そうすれば、ようやくこの国に夜が戻ってくる。




