第一章 沈まぬ太陽 第四話
翌日、一緒に出勤した三人はそれぞれの仕事へと向かった。
普段ならば外回りに出ている歩真と累水は外で適当に昼食を済ませることが多いが、今日は揃って本部に戻って食堂で食べることにしたらしく、透路が昼休憩に入るタイミングを見計らって一緒にどうかと誘いに来ている。
「それは勿論いいけど……珍しいね、二人がこっちで食べるの」
「たまにはいいかなって思って」
「今日は外も落ち着いてて余裕あったしな」
今のところ、沈まぬ太陽以外に核を持つ魔物によると思われる被害は確認されていない。
恐らく沈まぬ太陽の核へ近付けさせないために生み出されているのだろう魔物の出現は少なからず確認されているので対応が必要だが、核に迫っていないからか数も多くはなかった。
それもあっていつもより余裕のある二人は、せっかくならと透路と連れ立って三人で昼食をとろうと考えたのだ。
「急だからびっくりしたけど、でも嬉しいなぁ三人でお昼食べれるの。なかなかないもんね」
「俺と累水は外で食べる方が多いもんな。透路のおすすめって何かある?」
「あ、それ僕も聞きたい。ていうかここの食堂、結構メニューあるんだね」
「意外と多くて迷うよね。僕は今日おろしカツ定食の気分なんだけど……カレーライスとかピリ辛で美味しいよ。でも累水くんは辛いの苦手だから……焼き魚定食とかおすすめ」
「じゃ、俺はカレーライス」
「僕は焼き魚定食にしよ」
透路が選んでくれた、二人の好みをしっかりと把握したおすすめメニューをそれぞれに注文して、席に着く。杏仁豆腐もおすすめだと透路が言うのでそれも三人揃って注文し、お盆にそれぞれの料理を受け取る。
四人掛けのテーブル席が空いていたのでそこに座って、手を合わせて「いただきます」と声を合わせた後はそれぞれに黙々と食べ進める。
カレーライスは透路の言った通りにスパイスが効いていて、歩真にはちょうどいい辛さだ。辛いものが苦手な累水だったら辛いと嘆いていただろうが、スパイシーでコクのあるカレーはとても美味しい。
累水が頼んだ焼き魚定食は、日替わりで魚の種類が変わるらしく今日は鯖だった。白身はふんわり、皮部分はパリッと香ばしく焼かれている。程よい塩加減で、ご飯も進んだ。
今日の気分で透路はおろしカツ定食を頼んだが、やっぱり正解だったと思う。この食堂のおろしカツ定食は、カツと大根おろし、ポン酢が別々のお皿に分けられているので、衣がサクサクのまま自分好みに大根おろしとポン酢をつけて食べることができるのだ。
もしもまた機会があればこれもおすすめしようと思いながら、デザートの杏仁豆腐へ手を伸ばす。
三人の中で一番食べるのが早い歩真はもう全て食べ終わっていて、二番目が透路。いつも最後になりがちな累水は今日もそうで、杏仁豆腐に辿り着くまではもう少し掛かりそうだ。
とはいえ、まだまだ昼休憩の時間は十分にある。累水を急かすつもりもない二人は、気持ちゆっくりめに杏仁豆腐を口に運び、飲み物を飲みながら友人の食べる姿を見守った。




