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飛鳥異聞~日出処の天子と六道の覇王アスラ  作者: ダンケ
第1章:飛鳥擾乱

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夜叉王の最期

7/13 本日投稿分です。

 厩戸たちの死闘は続いている。

 夜叉王の巨棒が厩戸の炎を打ち払い、龍燈鬼の金棒を弾き返す。天燈鬼の結界は幾度となく砕かれ、そのたびに張りなおされる。

 傷を負わせても夜叉王はすぐに傷口を再生し、回復する。


「くそっ、きりがないぞ」

 歯噛みする天燈鬼。

 だが、厩戸は激闘の中で、ある違和感を覚えていた。


 龍燈鬼の金棒が夜叉王の胸を抉る。

 だが、その傷はすぐに修復される。

 その瞬間、金色の光が走るのだ。

 洞窟の奥から一筋の光が伸び、それが夜叉王に届くたび、傷は再生されていく。


 厩戸は攻撃を躱し火炎呪を唱えながら、その現象を観察する。

 斬る。

 再生する。

 焼く。

 回復する。

 そのたびに金色の光が走る。

 

「そうか!」

 厩戸の目に確信の光が灯る。

 それに気付いた天燈鬼が結界越しに叫ぶ。

「どうした!何かわかったか!」


「うむ。アムリタだ」

「アムリタ?」

「夜叉王は自力で回復しているのではない。傷を負うたびに洞穴の奥のアムリタが再生しているのだ」

 龍燈鬼が目を見開く。

「夜叉王とアムリタを結ぶ光の流れを断つ。夜叉王が再生する瞬間だけ、アムリタからの流れが見える。それを断つ」

 厩戸は二体の鬼と頷きを交わす。

「われが火炎呪で傷を負わせた瞬間に、天燈鬼は結界で奴の動きを封じよ。必ずアムリタから再生の光が夜叉王に向かうはず。それをわれが結界術で阻止する。そこを龍燈鬼」

 厩戸の視線を受けて龍燈鬼が金棒を振り上げる。

「これで夜叉王を打ち倒すのだな」

 厩戸が笑顔で頷いた。


 グオオオオ!

 夜叉王の咆哮が洞穴内に響き渡る。

「いくぞ!」

 厩戸が印を結び火炎呪を唱える。

「オン・アグニャ・シャバダ・ウン!」

 炎の龍が夜叉王に襲いかかり、漆黒の肌を焼く。

「今だ!」

「応!」

 天燈鬼が結果術で夜叉王の動きを封じた。

 その間隙をついて厩戸が夜叉王の背後に回り込む。


「来た!」

 洞穴の奥から一条の光が伸びてくる。

「絶界!」

 厩戸の両手に結界の淡い光が浮かび上がる。

 霊的な繋がりを断つ、盾の形状の結界だ。

 光の盾を構えた厩戸が、アムリタから伸びる光を受け止める。

「うおおおお!」

 光の圧力で押されながら、全身の力を振り絞って耐え抜く。


「行け!」

「応!」

 龍燈鬼の巨大な金棒が唸りを上げる。

 天燈鬼の結界により夜叉王は身動きできない。

 ドゴン!

 渾身の一撃が夜叉王の肩を砕き、その巨体を地面に叩き伏せた。

 

 顔をあげ、縋るように洞穴の奥を振り返る夜叉王。

 だが、アムリタの光は届かない。

 厩戸の結界術が見事に光の道を断ち切っている。


 グオオオオ!

 断末魔の叫びも次第に力を失っていく。

 やがて夜叉王の巨体は無数の光の粒となって崩れていった。


 厩戸がゆっくりと息を吐き、結界を解いた。

 だが、これですべてが終わったわけではない。

 厩戸たちは、アムリタを求めて洞穴のさらに奥へと歩みを進めていく。


お読みいただきありがとうございます。

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明日も1話投稿予定です。

よろしくお願いいたします。

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