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善徳の理

遅くなりました。

本日投稿分です。

 早朝の厩戸宮で善徳はアスラと向かい合っている。

 厩戸と刀自古もその様子を見守っていた。


「善徳よ。お前の根源属性は金だ」

「おお、全てを断ち切る断絶の力ですね」

 そうだ、とアスラは頷く。


「だが、今のお前に全てのものを断ち切ることができようか?」

 善徳は腰の神剣天断を抜き放ち、一閃する。

「金の力とこの神剣天断があれば、いかなるものも一刀両断できましょう」


「ほう、それは頼もしい。だが善徳よ」

 アスラは近くで見守る厩戸と刀自古を指差す。

「あの二人のうち、どちらかを斬らねばならぬとすれば、お前はどちらを斬る?」

それは、と絶句する善徳。


「迷うか。どちらも斬れぬなどとぬるいことを言うなよ。どちらかを斬らねば二人とも助からぬ、そういう場面を想像してみよ。義によって厩戸を救うか、情によって刀自古を救うか、さあどうする、善徳」

 それでも迷いを捨てられない善徳に、アスラはやれやれと首を振る。


「良いか善徳。金の根源属性の本質は、決断だ。対象を前にして迷っていては何も斬れぬぞ。相手が誰であれ、例え何十人、何百人いようが斬らねばならぬ時は迷わず斬れ。まずはそれを心に刻め」


 次にアスラは足元の小枝と手ごろな大きさの小石を拾い上げて善徳に手渡す。

「この小枝で石を斬ってみよ」

 渡された善徳は絶句する。小枝で石を斬れるはずがないではないか。善徳の顔にはそう書いてある。


「貸せ」

 戸惑うばかりの善徳からアスラは小枝と石を受け取ると、小石を頭上に放り上げた。

 小枝を一閃する。

 斬。

 小石はきれいに両断されていた。


「斬れぬと思うから斬れぬのだ。予断を排し、常識を捨てよ。斬るという強い意志、何ものをも斬れるという信念こそが、金の根源属性のもう一つの本質だ」

「決断と信念。それがわれには足りぬということか」

 足りぬというのならば、何としても手に入れてみせよう。そう腹をくくった善徳であった。


「しばらくの間は、龍燈鬼を相手に掛かり稽古を続けるがよい。やつの根源属性は土、守護の力だ。土の力は金の力を育てる。これを土生金どしょうきんという。お前の成長には格好の相手となるであろう」

 そして手にしていた小枝を再び善徳に投げ渡す。

「この小枝で石を斬れるようになれば、お前はもう一段、強くなれる」

 受け取った善徳は力強く頷く。その瞳には、何としても強くなるという決意が滲んでいた。


 さて、次はあの跳ねっ返りの番か。

 出番はまだかとうずうずしている刀自古を見てアスラは苦笑した。


お読みいただきありがとうございます。

評価、ブックマーク、レビュー、感想などぜひお願いします。

明日も1話投稿予定です。

よろしくお願いいたします。

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