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兄妹

本日2話投稿の2話目です。

「離れろ、化け物!」

 そう叫んで構えをとった次の瞬間。

 ゴンッ。

 刀自古の眼から火花が散った。

「あ痛っ!」

 思わず頭を押さえてうずくまる。

 涙目で見上げると拳骨を構えた兄の姿があった。


「あ、兄さま、何をするのです!」

「何をするではないわ。お前こそ何をやっているのだ」

「と、刀自古は兄さまの助太刀をしようと」


 それを聞いた善徳はあきれてため息を吐いた。

 まったくこの妹は。何と無鉄砲なのだ。

「馬鹿者。これは鍛錬だ。龍燈鬼どのに掛かり稽古の相手をお願いしていたのだ」

「鍛錬?」

「そうだ」

「鬼とですか?」

「うむ」

「な、なんと羨ましい」


「うわははははは」

 突然、背中から失礼な笑い声が響いた。

 刀自古が振り返ると、困り顔をした貴人とその隣で腹を抱えて笑っている従者らしき男がいた。

 厩戸皇子とアスラである。


「ぶ、無礼な!」

 アスラに向かって歩きかけた刀自古を善徳が慌てて押しとどめる。

「あの失礼な従者をとっちめてやるのです。兄さま、離してください」

「よせ。あれは従者ではないわ。あれは、いや、あの方はおれの剣の師、アスラどのだ」

「剣の師?」


 俄かには信じられなかった。

 見れば女の自分よりも華奢に見える。

 身長もさして変わらないだろう。

 それが兄の師?

 あの兄の?


 刀自古の知る限り、蘇我の家中に剣の腕で善徳に勝る者はいない。

 その兄の師だというのか。

 信じられないという面持ちと不信の眼でアスラを睨む刀自古であった。


お読みいただきありがとうございます。

評価、ブクマ、感想、レビューなどぜひお願いいたします。

作者の励みになります。

明日は18:00頃投稿予定です。

よろしくお願いいたします。

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