激闘~厩戸、刀自古
7/21 本日投稿分です。
馬頭はまるで疾風のような速さで移動しながら攻撃を繰り出す。
青龍刀が閃く。
厩戸が炎を纏った結界で受け止める。
次の瞬間には背後に回った馬頭が青龍刀を振りかぶる。
そこへ刀自古が飛び込んでいく。
正拳。
肘。
掌底。
回し蹴り。
それを馬頭は体捌きと青龍刀による受け流しで躱していく。
「火炎呪!」
厩戸が放つ黄龍を視認した馬頭もすかさず呪文を唱える。
「暴風破!」
馬頭の発する暴風によって黄龍の軌道が逸れた。
黄龍が激突した岩壁は、衝撃波と超高温で灼熱し、崩れ落ちていく。
「ふむ。なかなかに威力のある術ではあるな。しかし、当たらねば意味はない。牙風破!」
いくつもの風の刃が厩戸を襲う。
防御の結界と体捌きで躱そうとするが、急所を庇うのが精一杯だった。頬や手足に傷を負い、血飛沫が飛ぶ。
「慈しみの光!」
嶋の手から薄緑の光が届き、厩戸の傷を癒していく。
それを見た馬頭が舌打ちをする。
「治癒術か!面倒な!」
青龍刀を振りかざした馬頭が、嶋との間合いを一気に詰める。
「させない!」
刀自古が行く手を阻もうと馬頭の前に立つ。
「ええい、ちょこまかと鬱陶しい!」
横薙ぎに払われた青龍刀を身をかがめて躱すと、一気に馬頭の懐に入り込む。
「正中三極破!」
正中線、そこにある三つの急所、人中、鳩尾、金的。この三つの急所を高速で突く刀自古の得意技だ。
だが当たらない。
素早い動きで後ろへと飛び、刀自古と距離を取る。
距離を取れば、それは馬頭の間合いだ。
青龍刀による超高速の斬撃が刀自古を襲う。
それを体捌きと拳による受け流しで躱していく刀自古。
速さにおいては遜色はないが、やはり体力では馬頭に一日の長がある。
厩戸も援護に入りたいのだが、火炎呪を放てば刀自古を巻き込んでしまう。
馬頭もそれを解っているのであろう、奇を衒わぬ正攻法で刀自古を追い詰めていく。
多少の傷であれば、嶋が回復させてしまうであろう。
したがって、馬頭の狙いは一撃必殺。
疲労で体勢が崩れたところに渾身の一撃を見舞う。
その瞬間を虎視眈々と狙っているのだ。
そして、その時がやってくる。
馬頭の上段からの斬撃を躱しきれずに傷を負い、思わず膝をついてしまった刀自古。
膝をついてしまえば、次の斬撃への対処が一瞬遅れる。
それを見逃す馬頭ではない。
「しまった!」
上段に構えた馬頭の青龍刀が振り下ろされると見えたその瞬間。
「うおっ!」
馬頭が悲鳴を上げて飛びすさる。
驚いて目を見開いた刀自古が見たのは、馬頭の顔面に張り付いた一匹の家鳴り。
「きゅい!」
刀自古の懐から飛び出した家鳴りが馬頭の顔面に爪を立てたのだ。
あわてて振り払う馬頭の手を逃れ、刀自古のもとへと飛び戻る。
「刀自古どの!」
「刀自古ちゃん!」
厩戸と嶋が刀自古の声に刀自古がしっかりと頷く。
「家鳴りちゃんに助けられたよ」
きゅい、と一声鳴いた家鳴りが再び刀自古の懐へと潜り込んだ。
厩戸が刀自古のもとに歩み寄る。
「刀自古どの。このままでは分が悪い。われにひとつ策があります」
「策?」
「はい。そして、嶋どの」
厩戸は嶋を振り返る。そして、申し訳なさそうに頭を下げる。
「嶋どのにもお願いしたいことがあるのです」
「わかりました。なんなりとお申し付けください」
「え?あの、少し危険なことなので、まずは策の内容を」
嶋はからからと笑い声をあげる。
「何をおっしゃるかと思えば。危険を避けるのであれば、そもそもこの場に来ておりませぬ。それに、その策とやらは、勝つために必要なことなのでしょう?」
「し、嶋ちゃん、すごい」
刀自古が親友の豪胆さに感嘆する。
「わかりました」
厩戸は嶋に一礼すると、策の内容を話し始める。
馬頭を三人の力で打ち倒す。
その闘いが始まろうとしている。
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出張中で、投稿が遅くなってしまいました。
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明日も1話投稿予定ですが、出張中のため、時間は未定です。
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