激闘~善徳、天燈鬼、龍燈鬼
7/20 本日投稿分です。
「おい、小僧、貴様、名を何という」
「善徳。蘇我善徳だ。それがお前を倒す者の名と知れ」
それを聞いた牛頭が凶悪な笑みを漏らす。
「そうか。では善徳、俺との闘いでのあの技をもう一度見せてみよ」
前回の闘いで善徳は金剛斬という技によって、牛頭に膝をつかせた。その技をもう一度使えと牛頭は言うのだ。
「そうか。後悔するなよ」
善徳は神剣天断の柄に手を添えたまま、集中を高める。
「はっ!」
抜き放った刀身は金の真気を帯び、黄金に輝いていた。
「では、参る」
善徳は天断を上段に構え、静かに真気を高めていく。
牛頭も巨矛を両手で構え、闘気を発する。
「金剛斬!」
気合と共に善徳は天断を振り下ろした。
「ぐっ」
牛頭が巨矛でその斬撃を受け止め、足元の岩盤が爆ぜた。
天断と巨矛がせめぎ合い、力と力が拮抗する。
「うおおおおおっ!」
激しい咆哮と共に牛頭の両腕の筋肉が膨れ上がり、善徳は苦悶の表情を浮かべる。
「いかん!」
徐々に押され始めた善徳を見て、龍燈鬼が金棒を手に飛び込んでいった。横薙ぎに一閃した金棒が牛頭の腹に撃ち込まれる。
だが、龍燈鬼の全力の一撃にも牛頭は耐えきり、気合いとともに善徳の天断を弾き飛ばす。
龍燈鬼の金棒を鷲掴みにすると、龍燈鬼ごと投げ飛ばした。
「どうだ、善徳。もうその技は俺には通じぬぞ」
牛頭が傲然と胸を張り、巨矛を頭上で一回転させた。
「むう」
押し返された善徳が眉を顰める。
金剛斬は、全てを断ち切る斬撃であり、受け止められた時点で防御されたことになる。
巨矛と天断との押し合いになれば、膂力で劣る善徳が押し切られるのは自明であった。
そこへ牛頭が巨矛を一閃する。
天断で受けるが、空いた腹部に牛頭の蹴りが炸裂する。
「ぐっ」
蹴り飛ばされた善徳は、その場で膝をつく。
「善徳さま!慈しみの光!」
嶋の呪言術が、すかさず善徳の傷を癒す。
「善徳、怯むな!」
「己の根源属性を信じるのだ!」
天燈鬼と龍燈鬼が叱咤する。
「根源属性、、、」
善徳の根源属性は、金。
金は皆断。力と営利を具有し、全てを断ち切る、断絶の力。
善徳の脳裏にアスラの言葉が甦る。
「善徳よ。斬るという強い意志、何ものをも斬れるという信念こそが、金の根源属性の本質なのだ」
善徳がゆっくりと立ち上がる。
その目に灯る闘志を見た天燈鬼は龍燈鬼と頷きを交わした。
「善徳よ。われらが牛頭の相手をする。お前は真気を高めながら機を窺うのだ。ここぞという瞬間に金剛斬を叩き込め。われらが必ずその機を作ってみせようぞ!」
二体の鬼の咆哮が轟く。
「ほう、次は貴様らが相手か。怪異でありながら人の味方をするとは珍しい」
迎え撃つべく巨矛を構え、二体の鬼を睨みつける。
「われらの根源属性は土。土の本質は不屈。不動と忍耐、守護の力。ゆえに防御にその本領を発揮する。だから、こういう使い方もできる」
二体の鬼は、土の真気を身に纏わせる。
天燈鬼が印を結ぶと巨大な盾が現れた。
龍燈鬼が印を結ぶと全身を覆う鎧が装着された。
「「行くぞ!」」
二体の声が重なる。
牛頭と天燈鬼、龍燈鬼。
人外同士の人知を超えた闘いが始まる。
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