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東大陸そぞろ歩き

 東方大陸は小国が林立しており、それらが皆、ひとつの大国を仰いで成立する社会を建設している。小国の政治をつかさどる『トノ』のもとに『サムライ』が仕え、商人や農民がそれを力強く支える。

 その小国は、自国と住民の間にあるのと同様の契約を、大国の太守と結んでいる。西方大陸『剣の帝国』と旧帝国領との関係を発展させたものともいえるだろう。

 何処の大陸とも似ていない独自の分かは異世界から渡ってきた多数の人々によってもたらされたと言われ、見事この地に咲き誇っているのであった。

 大陸沿岸部の小国が構える関所まではガイドがついたが、「これよりは知らぬ土地の旅だぞ、ロデル」

「スゴロクさま、なんだか嬉しそうでいらっしゃいますね」

「うむ。これぞ冒険の旅の醍醐味だいごみである」

 素材を吟味したというよりは、ならした土を人の足によって踏み固めたというていの街道を、雑談しつつ渡る。

 街道筋には三角屋根の木造建築が所狭しと立ち並び、ハオリとハカマに身を包んだ男やキモノ姿の女が陽気に闊歩かっぽしている。

 威勢いせいのいい物売りの声にひきつけられるまま青空市場に入り、みやげ物を買い求める。

そのついでに情報を求めると、東大陸には50もの国があることや、各々(おのおの)の観光名所等を教えてくれた。

 概して質実剛健しつじつごうけんなサムライ達による腕試しがどの小国でも盛んで、各地に闘技場や洞窟が点在しているとも言う。

「お訪ねになるなら、まずはアズマノミヤコがよろしいでしょうな」

 屋敷に案内し茶を馳走ちそうしてくれた、商人らしき男が言った。アズマヤ・キチエモンと名乗った。

「東方50州を束ねる大国のことですな」

「さようで。東国の物品や人物は究極として、あの大都市に集中するようになって居ります」

「つまり、もっとも発展し、もっとも強い国であると……」

「そういうことになりますな、お嬢さん。もちろん周遊して頂いて、見聞を広められるもよろしいと私は考えます。主に人が住む地域が50州に区切られているだけのことで……亜人や魔族の国もありますのでね」

 饒舌じょうぜつなあきんどは茶を飲み飲み、知る限りであろう豊富な情報を提供してくれた。

「キチエモンさんは、色々なことにお詳しいのですね」

「はい。ここらの地図も取り扱っておりますし、ここは最も海に近い国ですから、人の行き交いも激しくございましてな」

 異世界や他の大陸から来る者たちのために標準的な言葉で話しているのだと、少々はにかんで言い添えた。


2015年 12月04日 15時45分 公開

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