東への旅路(3)
「お客様は、世界各地を調査して回られているそうですね。此度の船旅もその一環と伺っております」
「こう言っては失礼だが……思ったより大陸間の交流が盛んで驚いている」
「北と東が少々特殊なのでございます。わが『都』には異世界との大扉がありますし、東国には魔法や技術の研究に熱心な奨学の国が少なくありません。
実のところ南や西の大陸には、此方も明るくございませんで……地図を買って勉強しようと思っています」
単に操舵とガイドをこなすに留まらない知性と精神を持ち合わせているようだ。ロデルも興味津々らしく、ちゃっかり連絡先など聞き出した。
そうこうするうち、水晶の道が大きくカーブしてきた。「これより潮流を迂回して、いよいよ東大陸に入ります」
激流が直近にあるらしく、道にも荒波が打ち寄せては砕けている。助言どおり裸足になり、海の冷たさを楽しみつつ進んだ。
水晶の道が細くなり、やがて砂浜に埋まった。「お疲れ様でございました、これにて東大陸に上陸いたしました」
キュッと高い音を鳴らす砂粒を踏みしめて歩く。
「お客様、東方語をご存知でしょうか? もしご存知ないようであれば、此方は関所までご同行を許されております」
「是非にお願いする。習得を試みているが中途半端でな……」
承知いたしました、と不器用に微笑む魔法生物と共に、魔王たちは西日の砂浜を進んだ。
2015/12/02 15:23 公開




