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新たなる大冒険!?

 5日後。

 案の定と言おうか、人間界は中央大陸のはるか沖に出現した新たな島の話題で大騒ぎとなった。

「スゴロクどのっ! これはどーいうことでゴザるか!?」

「何がぜんたい、どうなってンねん! アンタか、アンタが出したンかあのでっかい島!?」

 訂正。

人間界のごく一部、『ワンダーダイス』一号店の中が、である。

「まぁ落ち着け、フィオ殿もミャオ殿も。っていうか、変なことがあったらまずここに来るわけだな……」

「おぬし以外に!」

ぁれがあんなコトできるんやっちゅうねん!」

たぶん『勇者』が何人かで手を組めば出来る、とか言い訳しようと思ったがやめた。巨躯きょくの王が申し訳なさそうに頭を掻きながら現れたせいだった。

『あいすまぬ。おれが魔王殿に無理を言ったのだ。海面なら邪魔になるまいと思ったのだが』

「むぅっ、このに及んで新たな人物っ!」

「わぁ超ハンサム――ってちゃうわ! オッサンは誰やねん!」

 二人の半猫は緊張の『き』の字もせずにぎゃあぎゃあ騒ぐ。

この五日間というもの、ワンダーダイス社が総力をって『魔人』や彼らの住む地下世界の実在を緊急公表してはいるが、ミャオ達のように納得しきれない者が、こうして騒ぎに来ているといった次第である。

『おれはケーニヒ、魔人の王のひとりだ。まず話を聞いてくれ――異世界の茶菓子を馳走ちそうするぞ』

これほどの狂乱までは想像の外だったのか、王は連日平謝ひらあやまりを繰り返していた。

「ならば、ゆるりと話そうか……やれやれ、そういえば拙者急いで来たのだった」

「騒いでもしゃあないな。スゴロクさん、ゴメンやで」

 うまそうな茶と菓子に釣られ……もとい冒険者に独特の起点の早さで頭を切り替えた二人は、湯気の立つテーブルへ向かった。

 愛らしく美しい姿となり、人当たりもよい魔人たちが、懇切こんせつ説明してくれるはずだった。

『やっぱ魔界に転移すべきだったかな、おれら』

「こちらがまずご無理を申し上げたのですからお互い様です。それより王――」

『何だそのワルそうな顔……何を考えている?』

耳打ちしたスゴロクの言葉に、

『あぁん!? お前は一体何を言っとるんだ!』今度はケーニヒ王が盛大に取り乱した。騒がしかった店内が静まり返る。

「ですから。地下世界と人間界の障壁をすべて解除してしまえばよいと申したのです。さすれば王の夢も、一挙に叶うではありませんか」

『た、確かにそうやも知れぬが』

逞しくも謙虚な冒険者の顔は消えうせ、傲慢ごうまんなヒキコモリ魔王の顔が久々にのぞいている。

「今度は何の話です? ダイス社でおもしろい企画でも始まるんですか」

 ちょうの因子を持つ『勇者』(実は買い物旅行に来てただけ)が悠然と問うてくる。

 魔王はニヤリと笑んで、

「よくぞ聞いてくれた、ミシェーラ殿。……ここへ居合わせた冒険者、勇者、勇者候補の各々方に問いたく思う」

仰々しくも重々しく、言葉を発した。

「諸君らの知らぬ世界がすぐ近くにあるとしたら、探検してみたいと思わないかね?」

「あらあら……嫌ですわ、スゴロクさん。そんなの――」

ミシェーラ=ロンドは、紫の瞳を情熱で燃え上がらせた。「行ってみたいに決まってるでしょう!」

小さな拳を突き上げると、皆々も続いて声を上げた。

途端とたん、店内はわくわくとした賑々しさに包まれる。

『貴兄はとんだ煽動家せんどうかだな』

「一応、国を仕切っておりますので」

『がはは、言いおる! ……よろしい、各地の同胞に同様の声掛けをしておく。探索を開始できそうになったら連絡をくれれば良い』

「まこと有り難き。おもしろくなってきましたなぁ」

 こうして、人間界の冒険者たちを巻き込んで、史上まれに見るハチャメチャな大規模探索行が始まった。

2016年 03月26日 11時33分 公開

2016年 03月28日 11時31分 誤字修正

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