表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
106/129

本の迷宮(1)

 それからのスゴロクは、本の手掛かりを求めて忙しなく動いた。

 各地の図書館を回ってみたし、魔界の友好国を訪ねもした。が、手掛かりは意外な場所にあった。

「昔の本ならいい所知ってるぜ。何で早く俺に言わねぇんだよスゴロク大先生よ」

「面目ない。世界を渡るのは楽しいが、足元の明かりを見落としていたよ」

「ま、別にいいんだけどな」

 中央大陸の都市国家コルトシュタイン。もはや懐かしくさえらるその地に足を向けた時には、人間界は初冬に入っていた。アルフレッドは私室のカーテンを「寒いの苦手なんだ」と言って閉めた。

「街がずいぶん様変わりしたな」

「ああ。アンタを見習って、宮廷で商売を始めてみたんだ。武具とか織物とかな。

貴族どもを戦力でつついてやることばかり考えてたが……敵もさるもの、貿易が異常にうまいんでやんの」

「では、下世話な言い方だがもうけているのだな」

「そりゃもうウハウハよぉ、へへへへ!」

 青年は咳払いをひとつして、「ウチの国の近くに不自然な砂漠があるの知ってるよな」

「ああ」

「あの街の一番でかい建物――行ったと思うけど、あそこは古代からずっとある図書館なんだよ。構造とか管理人があまりに特殊だから、知ってるヤツがほとんどいないんだが」

「余もあれが何の施設かは秘匿ひとくされたままである。そうか、やはり近き明かりに全てがあることもあるのだな」

「だな」

 鷹揚おうように頷きアルフレッドは無造作に『扉』を起動させた。

 スゴロクの旅路は常にあっさりと繋がるものらしい。

「特にワナとかはないし、アンタなら楽しめると思う。ただ気をつけてくれ、何たって『迷宮』なんて呼ばれる場所だ――ヘタすると帰れなくなるぜ」

 もっと話したいけど仕事なんだよなぁとボヤき、若き賢王けんおうは名残惜しそうに私室を去っていった。

 魔王はその背に丁寧な礼の言葉を掛けた。



2016年 03月22日 14時39分 公開

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ