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エーテルリウムの黄昏  作者: お茶どうぞ
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7,鍛冶屋工房での収穫


工房の待合室に座っていると、リアナがワゴンに紅茶とお茶菓子を乗せて、入って来た。

三人はマスターを待ちながら、紅茶とお茶菓子を楽しんでいた。


「ドン!ドン!」と奥の扉のノックがあり、リアナが扉を開くと


工房の主人でドワーフのマスター、グローリンと息子達が入って来た。


「エルドリン様!遅くなりました。申し訳ございません。」

「リアナにもてなされていたので、気にしないで下さい。」


グローリンは普段一人で鍛冶屋工房に来るのに、連れがいるので驚いた。

「今日はお連れ様がいらっしゃるんですね。」

「そうです。こちらの二人は、パーティーを組むことになった、オーガの戦士ガルムとハイエルフの魔術師ソレンディルです。」

「それはご丁寧にありがとうございます。私はこの工房のマスター、グローリンと申します。

 こちらは長男のブロン、後ろにいるのが次男のバルドです。」

「今日は昨日伝えていた工房の案内と、バルドが作った試作品のテストをしたくて来ました。

 ガルムとソレンディルに工房を案内をお願いします。

 そのまま裏庭に回って、アーマーと杖のテストをしましょう。」


グローリンは三人を連れて製作工房の案内をしました。

長男のブロンは過去に製作した武具について実物を見せながら解説しました。

バルドは急いで弟子達を集め、裏庭にテストの準備をしました。


工房の裏庭――

フルプレートアーマーとブーツ、腕宛、兜、盾と防具一式と、大きな魔石が埋め込まれた杖が、用意されていた。


「ガルム、そこの防具一式を装備して下さい。」

「分かった。」

エルドリンの意図はわからないが、ガルムは防具一式を装着する。

弟子達が取付方法をガルムに説明して作業を手伝った。

それを見ながら次の指示を出した。


「ソレンディル、その杖を試して下さい。」

「いいよ。」

ソレンディルは、設計を担当するバルドから杖を受け取った。

杖はソレンディルの背丈と同じ長さで、力を入れずに握れる太さ。

杖の柄にはいくつもの模様が入っている。上に大きな魔石を6つの爪が掴んでいる。


「ソレンディル様、得意とされる属性をお聞きします。」


「得意なのは氷属性だね。他のエレメントも苦手はないね。」


「それは素晴らしい。この杖の模様は、火、水、雷、氷、風が記されています。

 魔石はヴェリタス・ストーンです。マナを集めると魔法効果を増幅させる効果があります。

 ソレンディル様は体内のエーテル量が、人よりかなり多いと想定されます。

 魔法効果がどれだけ上がるのか、楽しみです。」


ソレンディルは杖を握り、軽くマナを流し込む。

杖が蒼くぼんやりと光り始める。


「――氷槍アイスランス!」


普段なら二十本ほどの氷槍が放たれるが、だが現れたのは三倍近い数。

氷の槍が標的に突き刺さり、鋼鉄鎧の木人形は木端微塵に砕け散った。


「えっ……!」


思わず自分で放った魔法の結果に驚き、思わず息を呑んだ。

続けて詠唱する。


「ファイアボール!」


現れた火球は直径三メートルの大きさで、しかも、三発同時に飛翔し、轟音と共に標的を爆砕した。


ソレンディルは興奮を抑えきれず、さらに飛行魔法を試す。

風の精霊により身体がふわりと浮かび、自由に空を駆け回る。

通常ならマナの消費量が多い術だが、この杖ならばマナの消費が少ない。


地面に降り立った彼女は、息を弾ませながらバルド言った。


「……あり得ない!この杖は……ありえない!」

今見た衝撃的な出来事に、理解が追いつかない。


「この杖は、エルドリン様が基本的な設計をしました。

 人間では体内のエーテルが少なく、これまで扱える人はいませんでした。

 "多数の属性を操れる術者が存在しない"と、父は言っておりました。

 この杖は造られましたが、封印されておりました。

 それがハイエルフの魔術師が、この街にやってきたと昨日聞きました。

 期待していました。私の夢が……叶ったのです!非常に感激しています!」

バルドが興奮してソレンディルに気持ちを吐露した。


「私も感激してるよ。心臓がこんなに跳ねるのは初めてだよ。」

少し落ち着いたソレンディルがエルドリンの方を振り返って答えた。

二人は固く握手を交わした。


ガルムは防具の装備が完了して立ち上がった。

鎧には魔法が付与されていて、装着者に合わせてサイズが変わった。

鋼鉄製の鎧なら全ての装備を付けたら、50kg近くになり動きを阻害するだろう。

ヴェリタス・ストーン製の鎧は重さを感じなかった。

身体強化の付与がされて、筋力、スタミナが補助されると聞いた。

王国騎士団で標準装備らしい。この国の騎士団は強いのだろうな。

ガルムは想像していた。


「ガルム!そこの鋼鉄鎧の木人形の隣に立って下さい。」

「了解。」

ガルムはエルドリンに言われた場所で立ち止まった。


「盾を展開して半身で盾を支えて下さい。」

言われたように右半身を前に、盾を構えた。


「ソレンディル、撃ち抜いて下さい。」

「え?ああ分かった。」


ソレンディルは杖を構えてマナを集めて魔法を放つ。

「――氷槍アイスランス!」


六十本を超える氷の槍がガルムを襲う。

「ガガガガガッ!」

ガルムに絶え間ない氷の槍が到達する。

やがて音が止み、キラキラ氷の粒が反射して周囲に舞っていたが、ガルムが立っていた。

隣の鋼鉄鎧は吹き飛んで跡形もない。


「おい。俺を殺す気か?」

「いや、すまんね。」

ガルムは壮絶な魔法の攻撃を受け止めて、受け流した。


「エルドリン説明してくれないか。」

「分かりました。ここでは何ですから、一旦装備を外して下さい。」


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