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エーテルリウムの黄昏  作者: お茶どうぞ
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7,鍛冶屋工房での収穫


工房の裏に出たソレンディルと個別案件、設計製造を担当するバルド。

「ソレンディル様の得意とされている属性をお聞きしてよろしいでしょうか。」

「得意なのは氷属性ね。

 火属性、雷属性、地属性、風属性、水属性、自然属性も扱えるわよ。」

「それは凄いですね。ではこの杖は相性が良いかも知れません。

 真ん中の大きな石は氷属性のエーテルが仕込まれています。

 周りの小さな石にはそれぞれ火属性、雷属性、地属性、風属性、水属性が5つの石に込められています。

 そして属性関係無い魔法をお使いになり、ヴェリタス・ストーンで造られた武具の性能をお試し下さい。」


ソレンディルはアイススピアを試してみる。

杖を握り周囲のマナを杖に少し流し込むイメージで詠唱を唱える。

杖は蒼くボヤッとひかり始める。


「アイススピア!」


通常であれば約20本程度のアイススピアが飛ぶ所、わずかに込めたマナで3倍程度のアイススピアが飛んだ!標的が木っ端微塵に弾け飛ぶ!


「えっ!」

自分で魔法を唱えたソレンディルが驚いている。

続けざまに

「ファイヤボール!」

通常であれば約2メートル程度の大きさだが約3メートルの物が3つ飛んだ!

爆音と共に標的が木っ端微塵に弾け飛ぶ!


ソレンディルはフライを唱える。

フライは時限魔法の為、使い続けるとマナの消費も大きく長時間使えない。

杖を握って浮き上がる。思い通りに空中を動いてみる。

通常はこんな事は出来ない。しかしこの杖があれば出来る!

ソレンディルは地上に降りて感想をバルドに伝える。


「あり得ない!これを貴方が?」

「ええそうです。ですがこれまで扱える人がいない作品でした。

 石を使った単一属性の杖は幾つも造りましたが、複数属性を扱える人物がいなかったので我が眼を疑っております。

 私は今猛烈に感激しております!私に間違えは無かったと!

 父は過ぎた物で扱える人物等存在しないと言っておりました。」

「わたしこそこんな伝説級な物に出会えた事に驚いてるわ!

 ハイエルフとして既に100年近く生きているのに初めて心臓が跳ねているみたい!」


2人は自然と腕を上げて男同士の友情を確認するかのように固く握手していた。


その頃ガルムはフルプレートの試着が終わり、特殊な鎧の説明をブローリンから受けていた。

「ガルム様、この鎧は対精神魔法が付与されています。

 いかなる困難な時であっても冷静な判断が出来るように魔法が装着者にかかり冷静に戻してくれます。

 混乱や睡眠魔法も効きません。

 そしてベルトのバックル部分を見ていただけると円型のダイヤル式になっております。

 石が5つ嵌っており石の色により火属性、雷属性、氷属性、風属性、水属性の攻撃耐性に切替が可能です。

 さらにこの鎧には治癒効果があります。装着している者の傷を癒やし、疲れも癒やす事が出来ます。

 戦争時に活動期間が不明な騎士団の為の装備でしたがダンジョン攻略にも役に立つと思います。

 但し空腹は防げません。」

「何だか信じられない仕様だな。」

「それではそのまま裏で魔法の杖の実験されているバルドの元に行きましょう。」


ガルムはフルプレートで歩くがガシャガシャとした音が発生しない。

いつも付け慣れている胸当てよりも軽いのが分かる。

これ筋力も上がってないか?

脚を運ぶ度にガルムは実感する。

魔法装備なので体に合せて形状が変化するのでジャストサイズだ。

エルドリンとグローリンも後に続く。


裏の試験場に着くとソレンディルとバルドが熱く語りあっていた。


「ソレンディルそれどうだった?」

「ああガルム。信じられない伝説級の逸品よ。

 これなら誰でも”あっはっは~世界は我の手の中だ!”って言うわよ!」

「凄く乗ってるな。そんなに凄いのか!

 じゃあ次はこちらのフルプレートのテストに付き合ってくれよ。」

「何をするの?」

「そうだなアイススピアーの上のアイスミーティア(流星)と

 ファイアボール、サンダーイーグルの順番で撃ち込んでくれよ。」

「この杖凄い威力になるけれど良いの?」


「それは構いません。」

品質管理責任者の長男ブローリンが答える。

特殊武具開発責任者の次男バルドがうなずく。


「わかったわ。標的的の前に立って。”死んだらごめんね”って先に言っておく。」

「縁起でもねえな。そんな訳無いだろ。」

ガルムは標的の前に移動する。


ソレンディルが杖を握り周囲のマナを杖に流し込むイメージで詠唱を唱える。

先程よりマナを多く送り込む。杖は先程はボヤッとした光だったが明らかに強い光を放ち始める。


「アイスミーティア!」

その瞬間杖の先から回転する氷の渦が発生し、直径6メートルは超えるかという氷の塊がその名の通り流星のように全身装備のガルムに向かって行く!


ズガン!!


2メートル超えるガルムが吹き飛んだ。

後ろの壁まで飛んで石壁に叩きつけられ、頭から前のめりに崩れ落ちる。


術を放ったソレンディルが死んだか?と見ている。


流石の一撃にブローリンとバルド、グローリンまでが唖然としている。

なんという一撃!騎士団の軍勢も吹き飛ばせそうな豪快な一撃!

今まで見たことがない!

3人は目を剥いていた。


「大丈夫ですか~ガルムさん。生きてますよね?」

エルドリンが焦ってガルムに立ち寄り声を掛ける。

「なんつー事すんだあいつ。人を殺す気か!嫌!殺そうとしたな!」

ガルムが膝を付いて立ち上がる。


「わる~い。てへっ。」

「それにしても凄い一撃だな。あんなに凄まじくなるのかその杖!

 おまえ思いっきりやったろ?」

「やっぱり分かった?試してみたかったのよね~

 最悪ガルムなら死なないかなって。

 石壁に直撃した時、悪いけどコントみたいに”死んだ~”って思ったけれど。

 そっちこそ怪我はないの?」

「そうだな、どういう仕組か鎧には傷一つ付かなかった。

 石壁に直撃した時も普通中身はぐちゃぐちゃになっちまうのに中身も無事だ。」

そう言いながらガルムが鎧兜を外す。


「あなた顔ぐちゃぐちゃよ!」

「え?本当か?」

「そんな訳ないわよ。」

「脅かすなよ!それにしてもこのフルプレート凄いな!

 恐ろしい性能だ。」


「そうでしょう。これがこの国で一番のフルプレートだと自負しております。」

品質管理責任者の長男ブローリンが答える。


「ガルムさんのエーテルに共鳴したので性能が上がったのです。

 それだけガルムさんが強靭でエーテルも豊富なんでしょう。

 弱者であればフルプレートの性能を引き出せないで死亡してますよ。」

エルドリンが答える。

本当にこの2人はタンザナイトクラスで間違いない。

早く共に旅立ちたいという気持ちが逸る。


「そういう説明は受けたな。」

エルドリンから聞いた鉱石ヴェリタス・ストーンがこの国の特産品で使った武具は国が輸出管理を

するのも納得だとソレンディルとガルムは得心した。


「それじゃ続けるか。」

ガルムとソレンディルは魔法検証を続け、その都度ガルムは石壁に叩きつけられて倒れ続けていた。


エルドリンがブローリンに"イグニスソード"の鑑定について尋ねる。

「ブローリン貴方にはどう見えますか?」

「そうですねヴェリタス・ストーンに近いエーテルの共鳴を発生する素材を使っております。

 この石にマナを流すと剣が火焔の色でひかり出し文様が浮かび出します。

 古い言葉で"炎の誇りを忘れるな"と浮かび上がります。

 固くて靭やかな剣ですね。刃こぼれはありません。

 物理攻撃だけでは無く、霊力も込められているようなのでレイスのようなエネルギー体を切断して

 浄化する能力もあるのではないでしょうか。

 但し欠点はガルム様の筋力で木の葉のように軽々動かせていますが、重量がかなりあります。」

「何か考えがあるんですか?」

「石をもう一つ追加して重力魔法を付加すれば、重力操作が加えられて相手に振り下ろす際に強力な一撃を加え、捌く時には軽くすれば素早い攻撃に対応出来ます。」

「素晴らしいアイディアです。」

「ガルム様と後程ご相談となります。」


エルドリンとガルムが魔法検証を終えたようで。

皆で工房の完成品展示室2へ戻った。


マスターグローリンから提案が告げられる。

「それではガルム様はそちらのフルプレート”インフィニティ・アークアーマー”でよろしいでしょうか?

 それとこの盾"インフィニティウォール"をお薦め致します。フルプレートと同様の効果があります。

 それとギミックがありましてこの後ろの握りの親指の釦を押せばシールドが伸びて地面に突き立てて

 タワーシルドとして使えます。

 そして"イグニスソード"はブローリンの提案通りに火焔石の裏側の面に重力操作の魔石を着けるという

 事でよろしいですかな?」

「それでお願いしたい。」

「また力の腕輪をお持ち下さい。筋骨の強度が上がり、筋力が上がり骨折しにくい体になります。

 騎士団では必ず支給されています。

 他にはマジックバックをお持ち下さい。食料保存、拾得物の保管が出来ます。

 重量は重くなりません。旅がしやすくなると思います。

 後はマントですね。被れば気配を消せる、防水、防寒も出来ます。

 ちなみにフルプレートの火で防寒、氷で熱帯に対応出来ます。

 他に必要な物はありますか?」

「そこまであれば今までより随分楽になります。ありがとうございます。」


「次にソレンディル様はそちらの杖”インフィニティスタッフ”をお持ち下さい。

 それに防御としてローブの下に装着する鎖帷子、これは対物理攻撃用です。傷の自然治癒と疲れを

 癒やす効果が付与されています。

 この腕輪をお持ち下さい。スタミナを補助し、筋力を上げる効果があります。

 こちらのネックレスをこれは耐精神魔法をレジストする装備になります。

 他にはマジックバックをお持ち下さい。

 それにこのアンクレットはマナを収集します。マナ不足や周辺にマナがない場所で活躍するでしょう。

 マナの補充は勝手にされます。

 ソレンディル様でしたら1周間毎日使われても枯渇する事はございません。

 後はマントですね。被れば気配を消せる、防水、防寒も出来ます。

 ローブを前止めするこのブローチが敵の気配探知になっております。

 気配が近づくと光ってお知らせします。是非お持ち下さい。」

「こんなに気を使って頂き凄く大事な物ばかりですね。」


「エルドリン様には既に必要な装備は受け取って頂いております。

 ツェルト、アイザック、調理器具、調味料、防寒具等です。」


マスターグローリンがそれぞれ装備品を装着させる。

「このお代はいくらぐらいになりますか?」

ソレンディルは装備が高価な物だと分かっているので大事な事を尋ねる。

「お代については兼ねてより、公爵エドガー・ファルコンハート様からタンザナイトクラスの冒険者が

 アイアンゲートにご訪問された場合、装備の提供を申し出ておられました。

 装備を献上出来る事は大変名誉な事だと申し受けてございます。」

「エルドリンが公爵家に関係するからって言うことではないですよね?」

「いいえ本日の修練場でのお話がある前からです。

 タンザナイトクラスの冒険者の方が鉱石ヴェリタス・ストーンを使った武器を使用されている

 それだけで公爵ファルコンハート家の公領、城塞都市アイアンゲートしいてはアルカディア王国の

 誉れになるわけです。」

「そこまで言われると公爵にご挨拶しないといけませんね。」

「その必要はございません。

 それでは"イグニスソード"については本日お預かりで明日お宿の方にお持ち致します。」

「ありがとうございます。」


この後は付与魔法師に会う予定だったがソレンディルもガルムも気が抜けてしまい、そんな気分では

無く成ってしまった。

エルドリンが気を使って付与魔法師へ面会断りの伝言をグローリンに頼み、3人は一度宿へ戻り装備を

外しに向かった。


情報量の多さに2人は疲れてしまっていた。


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