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エーテルリウムの黄昏  作者: お茶どうぞ
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5、エーテルリウムの夢


ギルドマスターの提案により、応接室を使う許可をもらった。

ガルムとソレンディル、エルドリンの三人は、応接室のソファーに対面して座った。


エルドリンは膝の上で両手を組み合わせ、静かに語り始めた。

本名はエドリック・ファルコンハート。

公爵ファルコンハート家の三男の為、偽名を使っている。

七歳から十五歳まで、魔法学校で過ごし、魔法と剣術を学んだ。

十五歳で騎士団に入り、第十師団に配属されて、百人隊長まで出世した。


――二十歳を過ぎたころから「他人の夢」を見るようになる。


夢の中で彼は、自分ではない誰かの記憶を追体験していた。

見たことのない魔法、剣術。その感覚を、目覚めた後も覚えていた。

夢を日記に記録し、夢で見た魔法を練習し、剣技を稽古した。


魔法は彼が魔法学校で習った魔法より強力で、上級魔法だと知った。

剣技は騎士団で習ったのと大きく異なる体系を持っていた。

体は逞しくなり、剣速を増し、疲れを知らぬようになっていた。


戦場で魔法と剣技を合わせて戦う事が、出来るようになった。

大きな負傷を受けない彼は"アンブレイカー"と渾名されていた。

しかし、強くなりすぎた彼は、騎士団に居ることに目的を見いだせなくなってしまった。

そこで騎士団を退団し、冒険者になり、ソロで戦いながら自分の居場所を求めていた。

自分を試すために、パーティーにゲストとして参加して、困難なクエストに挑戦して腕試ししていた。

パーティーが全滅しても彼だけ戻って来る。

仲間を見捨てた男と揶揄され、冒険者仲間にも"アンブレイカー"と陰口を叩かれるようになった。

彼の願いは、いつしかもっと強くなって、この街から出て夢で見たものを探しに行きたいと、思い至った。


「そいつは辛かったな。」

エルドリンの話を聞きながら、ガルムが相槌を打った。


「夢の中で、あなたは何者だったか、わかったの?」

ソレンディルが質問する。


「種族はエーテルリウムで、名はローラン・アイアンクラウン。

 姿は人間とでした。」


「エーテルリウム!?……古い文献にしか残っていない伝説の種族だよ。

 驚いた。魔法を創造した存在ではないかと言われている。

 ……長寿なのでドラゴンと人の混血〈ドラゴニュート〉とも噂されてるね。」

ソレンディルは自国で研究していたテーマだったので、エルドリンの言葉に興奮を隠せなかった。


「おいおい、取り乱しすぎだろ……」

ガルムはそんな様子を見て呆れ顔で小声を漏らした。


「その日記、ぜひ見せてもらいたい。良いかな?」

「良いですよ。」

「やった!」

ソレンディルは子供のように飛び跳ねて喜んだ。


ガルムは真剣な眼差しで、エルドリンに問いかける。


「それで……お前の目的はなんだ?」


「私は、あなたのような強者と出会い、共に戦い。

 この国を出てエーテルリウムの謎を求める旅に出ることです。」


「お前のクラスは?」

「オニキスです。」

「お前の腕なら、その上でも良いと思うがな。」

ガルムが打ち合った上で、素直な感想を述べた。


「俺達と組みたいか?」

「組みたいです。」

強い決意を持ったまま、エルドリンが答えた。


「ソレンディル、構わないか?」

「私は構わないよ。むしろ大歓迎だね。」

ガルムとソレンディルがから了解を得た。


「でも良いのか?公爵家が出奔するって事にならないのか?」

「アルカディア王国では、公爵家は長男が継ぎ、次男は予備。

 三男以下は独立するのが慣わしです。

 私は自由の身です。」

「……なるほど。ならば問題はないというわけか。」

「はい。」

「わかった。エルドリンをパーティーメンバーに加えよう。」


ガルム、ソレンディルにエルドリンが加わった。

三人が和気あいあいとしている雰囲気に、ギルドマスターはひとまずホッとした。


この後、エルドリンの提案で、彼のお勧めの鍛冶屋に行くことになった。

城塞都市アイアンゲートの街並みを案内しながら、一行は鍛冶屋通りへと歩みを進めた。


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