3、冒険者ギルド
朝日が登り、今日も晴天。
顔を洗って朝食を宿屋の食堂で頂く。
シスターソフィアから準備して9時に宿屋を出てアルディア教”鋼の契約堂”に行く事が伝えられた。
二人は装備を整えて宿屋のロビーに集合してシスターソフィアと合流して鋼の契約堂に向かった。
朝の街は商店の開店準備に追われていて喧騒感があった。
シスターソフィアに朝の挨拶する住人が多い。
アルディア教の住民が多いのだろうかとシスターに聞いてみると信者と言うより教会が治癒師の役割をしているので住人との繋がりが強く親しみを込めて挨拶しているとの事だ。
アルディア教の教会"鋼の契約堂"は2つの高い塔が連なる立派な教会だ。
中の天井はアーチになっていておよそ20メートル位の高さがありそうだ。
3人は奥に進み迎えてくれた一団に挨拶する。
「お待ちしておりましたシスターソフィア・グレースフィールド。」
「こちらこそよろしくお願いします。テオドロス・アウレリウス司教。」
「お二人これが今回の依頼料になります。」
ソレンディルに司教からアルカディア王国金貨で100枚を袋に入れて渡されまた。
「護衛だけなので多すぎます。」
「移動中の食費と宿賃と思って下さい。シスターソフィアにはそれだけ期待されている人物とお見知りおき願います。」
ソレンディルはそこまで言われてしまうと断れないと思い受取ました。
ガルムは冒険者ギルドの場所を聞きこの場を退席しました。
「またお会いしましょう。」
シスターソフィアは笑顔挨拶をした。
2人は冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドは3階建ての建屋で1階のカウンターでこの地区の登録をした。
冒険者ランクは希少石のクラスに相当する。
登録すると水晶クラスになる。規定の仕事をこなして修練所で修練を受けるのが任務。
修練場で外勤の証をもらいターコイズクラスに上がると魔獣討伐の任務を受ける事が出来る。
但しその上のオニキスクラスの同行が必要になる。
オニキスクラスになると独立した行動が可能でより強い魔獣討伐の任を受ける。
タンザニアナイトクラスになると魔獣討伐以上の冒険ギルドからの要請任務を受けることが出来る。
アレキサンドライトクラスになると英雄の扱いとなりどの国への移動が自由に出来る。宿屋や食事、武器供与にも支払いが不要となる。国王からの勅命を受けることもある。
冒険者は自由なので軍隊に取り込まれる事は無いという前提がある。
ガルムとソレンディルはタンザニアライトクラス。
今回の護衛任務もアルディア教から名指しで受けた依頼であった。
アレキサンドライトクラスのパーティーはお会いした事がない。
この大陸に数チームあるらしい。
2人はこの地区での登録を済ませて3人がけのソファーに座った。
受付嬢が慌ただしく動いている。
昼でも食べるかと話し合っていると受付嬢から声を掛けられた。
「ガルム様、ソレンディル様、今お時間ございますか?
ギルドマスターがタンザニアライトクラスのご両名にご挨拶したいと申しておりまして」
「時間はあるしOKだよ」
ソレンディルが答える。
それではと2階の応接室に案内される。
まあタンザニアナイトのクラスは珍しいのでこういった事はよくある話しだ。
すぐにきちんとした制服を着た2人が入室してきた。
1人は人間で年は40位の男性。もう一人は若いエルフの女性だ。
「お引き止めして申し訳ございません。私はこの冒険者ギルドのギルドマスター
アルバート・セレニティスです。こちらは補佐のエレンディル・エルムウィンドです。
この街にタンザニアナイトクラスの方をお迎えするなんてそうそうありませんから
ご挨拶をと思いまして。」
「こちらこそよろしくお願い致します。」
「オーガの戦士職とハイエルフの魔法職の2人組というのが興味深い。」
「この国では亜人は平和に暮らしているのですね。オーガも騎士団所属とお聞きしました。」
「そうですね、元々亜人の生活圏に人間が入植して出来た国なのでとても有効的な関係ですね。」
「ここのギルドではタンザニアクラスが最上位とお聞きしましたが魔獣退治にも特に支障がないのでしょうか?」
「そうですね強くてもアース・ドラゴン位ですのでタンザニアクラスで対応出来ておりますね。熟練の冒険者も多いので助かってます。」
「そうですか、所でエルドリン・ファルコンという人物に心当たりございますか?本日私の連れであるガルムと手合わせする予定なんです。」
アルバートは厳しい顔つきで答える。
「エルドリン・ファルコンですか・・・
特に問題を起こす人物ではないのですが人間の剣士で魔法を操ります。
シングルを好みパーティーを組みません。彼は一匹狼です。
上級の強い魔獣討伐でさえ1人でこなします。現在タンザニアクラスです。」
「何か問題が?」
「いえ強さを求める若者なのですが協調性がないというか、彼の動作や思考についていけないで持て余せているというのが現状です。元は騎士団にいたのですが今ではその影もありません。
そうですか、本日手合わせするのはガルム様でしたか。お手柔らかにお願い致します。」
ガルムは不思議に思った。騎士団だったのに協調性がない。他の同じクラスのメンバーがついていけない。
これは当たってみない事にはどんな人物かわからないなと。