第一章 10 『強欲は一人では飽き足らぬ』
マモンの権能名変更。
ウェッレ→テロー
「確かに、私が魔力を持っていないのは認めよう。事実を偽るつもりはない。しかし、魔力を持たないということはゴミということではない!」
テクストが剣を構え直し攻撃を仕掛ける。
「王牙流・穿牙」
連牙とは違い、連続した攻撃ではなく、一撃の刺突に極限まで威力を集中させる。
「テロー」
マモンが先ほど同様「テロー」と唱えると盾が現れる。
盾は穿牙によって破壊される。
しかし、盾を破壊したところで勢いは止まりマモンには届かない。
「貴様が使うテローという技は斧を出す魔法と判断していたが違うようだな」
テクストが口にした言葉に対しマモンはなんの躊躇もなく答える。
「テローは俺の欲したものを再現する権能だ。お前らの魔法は連続で使えば上澄みの者なら唱え始めた瞬間に何が来るか判断できる。だがテローなら何が来るか判断できない。それは大きな利点だ」
マモンはテクストを呆れた顔で見る。
「そんなこともわからないのか? 魔力も無ければ知恵も無いか。そんなんじゃ家族にも煙たがられていたんじゃないか?」
その言葉にテクストは目を見開く。
先ほどまで冷静だった表情が、ほんの一瞬だけ崩れた。
「父様も母様も私のことを出来損ないと罵ったことはない!」
その言葉をマモンは聞き逃さなかった。
「家族は、ではなく父様と母様はか。なら兄弟か叔父叔母にでも言われていたか? その剣技、騎士の名家であるアイン家のものだろ? だがそれは魔力を利用して行う技だ。つまり、それを未完成で使うお前は、自分の家系を汚すも同然だ」
テクストは動揺を見せつつも、必死に冷静さを保とうとする。
剣を握る手に力が入る。
動揺を振り払うように剣を構え直す。
しかしテクストが技を繰り出すよりも先に。
「テロー」
マモンは剣を欲する。
その瞬間、何もなかった手元に一本の剣が現れた。
「お前が魔力なしで鍛えて強くなったとしても大いなる魔力を注いだこの剣には勝てやしねえよ」
マモンはテクストの自信を折るためか、あえて剣を振るった。
テクストは防御の姿勢を取ろうとするが間に合わず、マモンの攻撃を受ける。
(まずい。あの傷ではテクストは今はろくに戦えない。冷静では無いとはいえ剣でテクストを倒した相手だ。僕とカイセンだけでは戦えない)
ナインは思考を巡らせるがやはり最適な答えは出ない。
「どうする? カイセン、ナイン。俺の配下にならないとこいつを殺すぞ?」
マモンはテクストを人質として交渉を仕掛ける。
(やばい。勝てるのか? いや、勝つしかない。どれで仕掛ける? 新しいオリジナル魔法で攻撃を仕掛けたとして俺の攻撃がマモンに当たるよりも先にテクストが殺される方が速い)
カイセンも思考するが、やはり最適な答えは出ない。
テクストを見れば、今すぐ戦える状況ではない。
マモンを攻撃すれば、その瞬間にテクストが狙われる可能性がある。
二人が最終的に辿り着いた答えは、同じだった。
「お前についていくからテクストを解放しろ」
「あなたについていくのでテクストを解放してください」
二人ともマモンに従いこの場をこれ以上悪化させないことを選んだ。
「正しい判断だ。じゃあいくぞ。テロー」
カイセンとナインの両手に、光る手錠のようなものが現れる。
「念の為にな。なら行くぞ。俺の城に」
そう言うと、マモンはカイセンとナインを連れて、壊れた窓から部屋を出ていった。
「待て……私はまだ戦える……」
テクストは立ちあがろうとするが、身体は思うように動かない。
その時部屋の扉が大きく開きグリフが入ってくる。
「テクスト!? 大丈夫か!? ナインから念話があって急いできたが……」
グリフは荒れた部屋を見渡す。
そこにいるのは、傷ついたテクストだけだった。
「テクスト、状況の説明を頼む」
その声かけにテクストは答えることができず、そのまま気を失った。
* * *
カイセンとナインはマモンの権能で肉体の自由を奪われ二日間にわたってマモンの住む城、魔城マインスに連行される。
「ここが今日からお前達の部屋だ。二人部屋だがあの屋敷の部屋より断然広いだろ?」
その時部屋の外からこちらへ近づいてくる足音が響く。
「マモーン!!」
女だった。青白い肌をしており、お世辞にも綺麗とは言えない顔立ち。
「誰だ?」
カイセンが疑問を口にする。
「あぁ? お前こそ誰だよ。私とマモンの城だぞここはぁ!!」
女のキレようにカイセンは少し驚く。
「レヴィアタン、こいつらは新しい配下だ。それに俺とお前以外にもこの城には配下達がいるだろ」
マモンは呆れるように言う。
「自己紹介してやれ」
「は〜い! 私は七大魔族の第七柱、嫉妬の魔族、ナイト・レヴィアタン。マモンの妻です!」
マモンは妻という発言に対して否定も肯定もしない。
(七大魔族が二人!? 一人でも厳しいというのに……)
ナインは絶望の表情を浮かべる。
(テレパティー)
ナインは念話を発動させ、シエルに繋ぐ。
≪シエル様! ナインです。私とカイセンは強欲に拘束され現在はおそらく中央荒野に建てられた城、魔城マインスに連行されています。さらにそこには嫉妬までいます。可能ならば救援を頼みま-≫
「そういえば、言っておくことがある。逃げようとは考えるんじゃねえぞ? 救援も呼ぶな」
マモンはまるでナインが念話をしていることに気づいているように釘を刺す。
「なんのことですか?」
ナインは誤魔化す。
「いや? ただ忠告しただけだぜ。まあ、どうせ応援が来ても全滅するだけだがな」
≪カイセン!≫
カイセンの頭の中でナインの声が響く。
≪ナイン!? なんでナインの声が頭の中で響くんだ?≫
≪これは念話をする魔法テレパティーを使用しています。シエル様に救援は頼みましたが来るかは分かりません。私たち二人で勝てる相手でもありません。シエル様達が来ることを信じて今は待ちましょう≫
≪……わかった≫
「まあ、今日はくつろげ。明日からは俺の配下として動いてもらうからな」
レヴィアタンがカイセンとナインを睨みつける前でマモンはそう言い残し部屋を出ていく。
「お前ら、マモンになんかしたら殺すからなぁ!」
レヴィアタンもそう言い残し部屋を出ていく。
* * *
ーー時は、マモンが屋敷を襲撃した時へと戻る。
シエルの屋敷には皆が集まっていた。
テクストは傷を治療してもらいながら話をする。
「申し訳ありません。強欲に襲撃されました。私は強欲の言葉に冷静さを失い攻撃を受けてしまいました。その結果、ナインとカイセンが連れていかれることに……」
シエルはその話を聞き冷静に尋ねる。
「そうですか。強欲の目的は?」
「強欲は魔力に執着しているようでナインとカイセンに興味を持ったようです。それで配下とするために来たと」
テクストは嘘偽りなく語る。
「どうするん?」
そう尋ねたのは赤髪で緑色の目のエマ・ウェーバー。
「決まっています。助けます。もちろんエマも来てくれますよね?」
「もち。あんま喋ったことないけど仲間だしね!」
「私も行きます! なので少し回復するまでお待ちを……」
「もちろんです。強欲の居場所もわかっていません。特定に時間がかかるはずですのでそれまでに治してくださいね」
シエルは優しい目でテクストを見ている。
「他の皆も準備してください。特定でき次第、攻め込みますよ」
後書きのところでキャラクターについて説明していこうと思います。
【キャラクター紹介】
原田 海千
年齢:17歳
誕生日:2月11日
身長:173.1cm
体重:69.2kg
体格:一般的。少し筋肉がついている
髪・目:黒
一人称:俺
好きな食べ物:うどん
嫌いな食べ物:魚介類
好きなもの:神話などの物語
好きな言葉:光あれ




