表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染のせいで女嫌いになった俺が、大の男嫌いで有名なクラスの美少女となぜか仲良くなる話。  作者: 遥遥か


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/9

2話 バケモノ

「前の席美結かよ〜。最悪だわああ」


 そう言い放ったのは、美結の真後ろの席にいる女、甲田禮こうだらいだった。彼女は女子グループのリーダー的な存在である。


 美結は横で固まっていた。その表情はかすかに震えていた。それが怒りからなのか、悲しみからなのかはわからなかった。でもどっちにしろ俺には関係ないことだ。悪意を持って人に接する奴はクソ野郎だ。別にこいつを助けたいとかそういうわけじゃない。ただ、後ろでこの先騒がれても面倒だ。


「おい、やめろ。不愉快だ」


 俺は持ち前の悪い目つきで睨みを利かせ、静かにそう言い放った。


「は、お前誰?別にお前に関係なくね?」


この手の女はなぜこういつもすぐにピキピキするのか?きっと自分がこの世界で一番偉いと思ってるのだろう。


「関係あるよ。後ろで騒ぐなっていってんだよ。耳障りだ」


「おまっ」


 禮は何かを言いかけると、隣の席の女子生徒に何か耳打ちをされた。そして不服そうな表情を浮かべて、スマホに視線を移していた。

 とりあえずは場がおさまったということでいいのだろうか?美結の方をチラリと見た。美結もこちらを見ていて目が合ったが、お互いすぐ逸らしてしまった。だがその一瞬伺えた瞳は、少し光っているように見えた。


 そして何事もなかったように、授業が始まった。隣の席が女子の時の俺は、誰よりも静かだった。もはやこの教室には俺しかいないような感覚にすらなった。だが今回は違った。俺と美結の間には、特別な沈黙があった。それはどこかもどかしかった。


 漠然とした気持ちのまま全ての授業が終わり、放課後になった。俺はいつもよりゆっくり支度をしていた。すると、一人の男子が美結のところに来た。


「ねえ美結ちゃん、今日一緒に帰ろうよお」


 そう言ったのは、隣のクラスのイケメンだった。チャラい見た目と声で、自分に自信たっぷりといった感じだ。並大抵の女子ならすれ違っただけで惚れてしまうのだろう。


「いやです」


 美結は冷たくそう言い放った。


「釣れないなあ。俺結構モテるんだぜえ?俺みたいなのと一緒に帰ると自慢になるぜ?」


「しつこいです。うざいです」


 美結は無言でその場を立ち去ろうとした。


 そんな毅然とした態度に腹がたったのか、チャラ男は美結の腕を掴んだ。そして周りは見て見ぬ振りといった感じだ。


「恥かかせんなや。今日は絶対お前と帰らないと示しがつかない」


 チャラ男は瞼をぴくぴくさせながらそう言った。今まで恐らく女性関係で困らなかった彼のプライドが、ズタズタにされたのだろう。


 美結の体は震えていた。助けるか?いや、落ち着け俺。どうせまた、ろくな目に遭わない。女の関わってることに関わって、いいことはない。俺も周りと一緒でいいじゃないか。


「や、やめ」


 美結の声は今にも消えてしまいそうだった。恐怖で声が出ないのだろう。


「あの、その手を離してもらえます?」


 くそ、何やってるんだ俺は。過去から何を学んだんだ。こうやっておせっかいを焼いても、損するだけなんだ。


「なんだ?正義マン気取りか?」


「ちげえよ。俺と美結は今日一緒に帰る約束してるんだ」


 俺がそういうと、美結はこくりと頷いた。それでもこのチャラ男は引こうとしなかったので、こいつの腕を掴んで少し強く握った。


「ちっ、しょうもない」


 チャラ男はそう吐き捨て、早足で教室を出て行った。


「あ、ありがとう」


 なんとか絞り出したような声だった。まだ恐怖で喉に力が入らないのだろう。


「別にいいよ」


 俺は帰る支度を早々と終わらせ、廊下に向かった。


「待って!」


 美結の声だった。

 

「一緒に帰るんでしょ?」


「いやそれはさっき咄嗟についた嘘だ」


「ね、念のため一緒に帰ろうよ。い、嫌ならいいけど」


 本心では少し嫌だった。それは美結が嫌いだからではなく、心に深く根付いた女への警戒心からだ。でもまあ、一人にして何かあったら俺はきっと後悔するんだろう。本当に俺はめんどくさいやつだ。


「分かった。家の方向は?」

読んでくださりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ