第310話 クサンの町
なにが売っているか楽しみだったが、そうおもしろいものはなかった。
十年前以上の戦いで豊かさは取り戻しつつあったものの、やはり十年くらいでは以前のような豊かさにはなっていないそうだ。
多くの人が死んだのもまだまだ豊かになれない原因だろう。もう十年、いや、二十年は必要か? ファンタジーもSFも戦争はやらないほうがいいってのがよくわかるよ。
「移るか」
ボクの言葉に全員が頷き、朝早く出立して、アクアに乗ってレッツらゴー! 数分で到着しましたとさ。めでたしめでたし。
「豊かな町だ」
特徴なすぎて前の町の名前は忘れてしまったが、町の規模が十倍以上なのはわかった。
「城壁がないね?」
これだけ大きく、戦争していたのなら城壁があっても不思議じゃない。なのに、その跡もない。戦後に作られた町なのか?
「まずは酒場だ」
町は大きくともやることは同じ。中心部にある酒場――いや、こんな朝から商売してんのか?
なんて心配もよそに、早朝営業をしてました。なんで!?
「早朝に出発する冒険者のためだな。まあ、食わないヤツがほとんどだが、弁当にしてもらって昼前に食うヤツもいるのさ」
そうドットさんが教えてくれた。
「国は違えど冒険者は同じなんだね〜」
不思議なものだ。世界は繋がってんのかな?
朝からお酒とはならないようで、お任せの朝食をお願いした。
「冒険者って、こんなもの食べてんだ」
いや、ボクもジージーと出会う前はこれより質素だったっけ。豊富な魚が入った汁があるだけマシってものだな。
「味噌が欲しい」
美味いは美味いが、魚料理を食べたら味噌が欲しくなった。なんなら醤油でもいい。ここにもう一味加えたいよ。
「悪くはないが、レイのところの魚煮のほうが美味いな」
「そうね。アヒージョ、美味しかったわ~」
オリーブが手に入ったから作ったものだ。あれはあれで悪くはない。だが、魂に宿る日本の味を忘れられないのだ。
「食べ終わったら情報収集開始。宿はボクが決めておくから」
ボクに情報収集能力はあまりない。町を歩いて、耳にした情報しか仕入れられない。なら、ガッドさんたちに任せるとしよう。餅は餅屋だ。
通信だけ出来るスマホは五人に渡してある。ルクセルが妨害してなければ問題なく使えるだろう。
朝食を終え、ガッドさんたちは町に消えて行った。
「さて。綺麗な宿があるといいんだがな~」
もう汚い宿には泊まりたくない。高価でも綺麗な宿に泊まりたいものだ。
まったく土地勘はないが、金持ちは町の中心に住むもの。なら、町の中心にある宿を探すとしよう。
ハラーシと二人で町の中心へと向かった。




