第309話 サザンの町
旅は、いや、移動は順調だった。
町が近いってのもあるが、ガッドさんたちが歩くだけでバカは寄って来ない。どこかに向かう冒険者たちが目線を逸していたものだ。
難なく町に到着。そこそこ大きい町だ。
空からの映像から五千人もいないが、貿易が盛んなのか、馬車の出入りは凄かった。
冒険者の決まりなのか、そのまま酒場に向かった。いや、冒険者組合じゃないの!?
「冒険者組合がどこにあるかわからないが、酒場ならわかる」
どんな理屈だよ! と思ったが、本当に酒場にやって来た。迷うことなく、誰かに尋ねることもなく、だ。冒険者スゲーな!
到着したのは午後の三時くらい。客は少なく、ほぼ貸切に近い。じーさんが酔い潰れて眠っているくらいだ。
とりあえず、お酒と食べ物を頼んだ。なにも頼まないのも悪いからだ。
「換金所はあるだろうか? 異国の金しかないんだ。これを金に代えたい」
銀の板を出すガッドさん。慣れてんな。初めての異国がここなのに。
「それなら近くにあるよ」
場所を聞いたドットさんが走って行った。
後払いにしてもらい、温い麦酒を頼んだ。あー美味しくない。って顔になるガッドさんたち。キンキンに冷えたビールに慣れた者の苦しみである。
それでも飲み進め、なんとか飲み干した。
「悪くはないが、ちとアルコール度数が足りないな」
そう言うのがやっとのようだ。今度、冷却用のカップを打つのもいいかもな。
「お待たせ」
三十分くらいしてドットさんが戻って来た。
「女将、これで頼む」
銀貨を一枚出して注文した。麦酒はもういいみたいだ。
「お金払って持ち込み可にしてもらうかい? 葡萄酒ならあるよ」
「女将!」
悪即斬みたいにガッドさんが立ち上がり、持ち込みの許可をもぎ取った。
「もうレイのところの酒じゃないと体が受け付けなくなっているよ」
瓶のまま飲み出すガッドさんたち。アル中か。
血管にアルコールが満たされた頃、ドットさんがここがサザンの町であることを語った。
メロリアム王国でも南のほうにあり、一大穀倉地帯なんだとか。昔は戦場で、草木一本生えてなかったそうだ。
「冒険者組合も小さいそうだから、海のほうにある町へ向かったほうがいいらしい。それか大森林に向かうかだ。そちらになら魔物が溢れているそうだ」
「レイ、どうする?」
「何日か情報収集してから海に向かおうか。人が多いところで情報を集めよう」
急ぐことはない。町を見て回って、おもしろそうなものかないか探すのもおもしろいだろうよ。
その前に、出て来た料理を楽しむとしよう。なんか、鶏の丸焼きが出て来たよ!




