第308話 コミュニケーションツール
ハゼフとボンドの働きはとてもよかった。
二人にもボクが打った剣を持たせてある。ガッドさんの動きを真似てか、なかなか堂に入っていた。
やっぱ、戦闘タイプなんだよな~、マニュアー乗りって。それを使い捨てにするんだからもったいない。それだけ人的資源が豊富なのか?
蟻はさらに増えていたが、ガッドさんたちも装備がよくなったことで苦なく倒していた。
他の者も万全の状態からの戦闘なので、まだ笑ってられた。冒険者やな~。
「とは言え、魔石を取り出すのが大変だよ」
もうどうでもよくなって、蟻の体液とか気にならなくなった。今は魔石だ。
夕方になってやっと蟻が尽きてくれ、見張りを任せていたハラーシにアクアを呼んでもらった。
アクアに乗れば一時間もしないでどこの拠点にも帰れるが、もう疲れていてそれも億劫だった。
ハラーシにキャンプセットを設置してもらい、まずは簡易お風呂に入って汗と蟻の体液を流すとする。
野郎どもも汗と蟻の体液を流して出て来て、よく冷えたビールで乾杯した。
「うめー! こんな美味い酒を覚えたらもう麦酒なんて飲めないよ!」
「まったくだ!」
酒は最強のコミュニケーションツールとばかりに、ファンタジーとSFの住人を繋いでいる。
見張りはアクアのセンサーがあるので、飲んで食べて眠った。ボクも焚き火の横で深い眠りについた。
朝、清々しく目覚めた──が、なんか酸味のある空気に満ちていた。蟻、片付けないとこうなるのか?
キャンプセットを片付けてもらった場所を変えるとする。あの中で朝食などいただきたくない。空気が澄んだところで気持ちよくいただきたいよ。
十キロくらい離れたらまたキャンプセットを設置してもらい、温かい料理をいただいた。
「腹が落ち着いたら出発しようか」
「そうだな。明るいうちに町に入るとしよう。ここのほうが快適だが」
「こんな暮らしを覚えたら宿屋暮らしなんて出来ないわ」
すっかり贅沢病にかかったエリアさん。髪も艶やかになり、気紛れで渡したヤスリで爪を削っていた。ネイルとか教えたら夜遅くまでやってそうだ。
「じゃあ、家を買って改築しようか。魔石を売ったらそこそこのが買えるだろうしな」
こうしてキャンプをするのも楽しいが、やっぱり屋根のあるところで眠りたい。ボクはシティーガールなのだ。
おっと。昭和クセ~、とか言わないように。事実、昭和生まれだったのだから許してチョンマゲ。そんな年代を生きてたんだよ!
「さて。出発するか」
先行と決断はガッドさんに任せてある。知らない地とは言え、長いこと冒険者をやっていた人。餅は餅屋だ。任せるとしよう。
片付けはアクアの者たちに任せて出立した。




