第302話 飛行船(笑)
ドットさんがサドラ村に走ってくれ、ボクたちのことを説明してくれたお陰で、マニュアーが現れても逃げ出すことはなかった。
熊の被害がまだあちらこちらに残っていた。これなら何人か犠牲になっているな。
この世界の熊も人間の味を覚えたらまた襲って来る。だから一頭残らず殺すしかないのだ。
一応、討伐した証として熊の首を一つ持って来た。口で説明するより物的証拠を見せたほうが早いからだ。
いい感じの杭があったので、熊の首を置いた。
「この村にいた娘たちから依頼されて熊を根絶やしにした。もういなくなったと言っていいだろう。もし、また出たのなら次は冒険者組合に依頼を出してくれ」
そう言って村を出て、村からこちらが見えなくなったらアクア2を呼んだ。
「な、なんだこれは!?」
「鉄の船?!」
ファンタジーもびっくり。SFもびっくり。世界は驚きに満ちているものだ。
「グージー商会が抱える飛行船さ」
「飛行船? 前に見たものとは違うな」
はぁ? マジで飛行船ってあんの!? マジびっくりなんだけど! ウワサにも聞いたことねーぞ!
「へ、へー。どんな形の飛行船?」
ちょっと動揺しながら尋ねた。
「まさに空飛ぶ船だな。南の国の技術だそうだ」
スマホを出して島に繋いだ。
「南半球を調べて。空を飛ぶ人工物があるようだ」
返事は待たずに通信を切った。
「これは、ここから東の大陸の技術だね。マニュアーもそうだよ」
空想の大陸だから探そうとするなら自己責任でお願いします。
「世界は広いのだな」
そうだね~。宇宙はもっと広いんだよ~。
ガッドさんたちをアクア2に乗せる。細かい話はまた今度ね~。
マニュアーはフライユニットで戻ってもらい、アクア2はそのあとを追う。
「せっかく空を飛んでいるのに外が見れないとはな」
魔法使いさんが残念そうにしている。
「悪いね。この船は速さ特化型なんだよ。ほら、エマンの町に着いた」
アクア2に小さな衝撃が起こり、後部ハッチが開いた。
「さあ、降りた降りた」
ガッドさんたちを急かし、降りたらハッチが閉まってアクア2が飛び立った。さすがに目立つと面倒だからだ。
「ようこそグージー商会エマン支部へ」
まあ、店らしくないので感動はないがな。
「ハチヤ。お客さんだ。部屋を用意してくれ」
「オッケー」
二階の窓からハチヤが顔を出し、サムズアップした。そんなことまで覚えたんかい。
「まずは旅の汗を流すといい。うちには大きな風呂があるからさ。もちろん、男女別だから安心してくれ」
「お風呂があるの!?」
全身鎧の女性が喜んでいる。なんか見た目と声にギャップがありすぎて受け入れられないでいるよ……。




