第300話 死んだ
ごっつい剣でDXの腕を斬り落とした。
確かにDXの装甲は弱い。熊の一撃は耐えられても補正は必要となる。
いや、グリズリーにも負けない重量の生き物の一撃。補正だけで済むのはSFも凄いんだからね!
「芯がしっかりしている音だ。かなり腕の立つ者が打ったんだね」
残念なのは金属が弱いこと。あの剣は、ファンタジー金属が使われていないし、魔法が掛けられているわけでもない。剣三割、腕七割で、DXの腕を斬ったのだ。
……いや、それでも意味不明なんだけどな! 普通は斬れないんだけどな! このバケモノめ……!
腕のシリンダーが切れたことで、天羽々斬を握る握力が消えて地面に落ちた。
天羽々斬単体でも百キロはある。人が持てたものじゃないんだが、ガッドさんはひょいと持ち上げた。
……これだからファンタジーの人間は……って、ボクも余裕で持ち上げられましまね。すみません…。
「他の剣聖もこいつを斬ったのか?」
「一撃だね。一刀両断だね。見事だったね」
マニュアーを斬るとか非常識だよね!
「やりたいならやってもいいが、斬ったところでそれは天羽々斬の性能がいいから。剣七割、腕三割だ」
「それで十割。おれの力だ」
「いい答えだ」
剣と腕が一緒がいいってわけでもない。剣は斬るためにあるのだから。どっちが重要ってわけでもない。二つで一つ。割合など関係ない。十全に使えるかだ。
「四の五の言わず、剣で斬れればそれがすべてだ」
単純明快。だから強い、ってことだ。
天羽々斬を両手でつかんで振り上げ、スッと振り下ろした。
脳筋なことを言いながらやっていることは繊細。DXを真っ二つにした。
愛着ねーのか! と叫ばれそうだが、ファンタジーに勝てないSFのほうが悪い。そして、それをファンタジー側にもSF側に見せる必要がある。傲慢にならないために。上は上がいるんだと。それが双方を縛る理性となるからだ。
「……神代の剣だな……」
「人の技だよ」
正確にはファンタジーとSFの技だがな。
「これは、お前が?」
「レイだよ。答えはイエスだ」
あ、イエスと言ってもわからんかった。
「ボクが打った天羽々斬だ。現在で最高の一本だと自負する」
DXの腰から鞘を外し、ガッドさんに向けた。
「欲しくなった?」
「ああ、欲しい」
素直だな。まあ、わからないではないが。天羽々斬のよさを体で知ったのだからな。
「いいよ。あげる。次は、もっといいものを打つからな」
DXは死んだ。新たな命を生むために。なら、天羽々斬もまた死んだ。DX専用に打ったものだからだ。
使いたいのならガッドさんが天羽々斬に合わせればいい。気に入ったのならな。




