第298話 鷹の目
「今宵の天羽々斬は、まだまだ血を求めているぞよ」
「まだ昼間だが」
ハゼフくん。ちょっと言葉を覚えすぎだよ。あと、君は突っ込みは鋭利すぎ。
と、とりあえず、ハゼフくんの突っ込みは右から左に受け流す。さようなら~。
「ジージー。ボクから近い熊はどっち?」
「十時方向、距離四百メートルよ」
「オッケー!」
走るには間に合わないので、空へと飛び立ち、スーパーでイナズマなキックを熊に食らわした。
「うーん。左脚が折れた。てか、砕けた」
「当たり前だ」
うっさいよ! やりたかったんだよ! 悔いはないんだよ!
「ハゼフ、あとはお願い。魔石まで破壊しないでね」
「自分に言え」
ハイ、ごめんなさいです。
「あーあ。システムまでイッちゃってるよ」
衝撃で電気系統までイカれている。フライトユニットも壊れたみたいだ。
「……アニメのロボットみたいにはいかないか……」
宇宙ではマニュアーなんて紙装甲だ。防御用レーザーで一発だ。百メートル上空からスーパーでイナズマなキックなんてしたら壊れて当然だ。すべてはノリと勢いが悪いのだ。
緊急用レバーを引いてフライユニットをパージし、後部ハッチを力任せに開けて外に出た。
「改造しても弱いんだよな~」
熊くらいなら肉弾戦をしても勝てるだろうが、竜ともなれば厳しいだろう。
究極的なロボットはそれはそれでロマンだが、強すぎてもおもしろくはない。機体はバランスだ。操縦者は技術だ。状況判断出来る経験だ。それらが揃ってこそロボットに乗るってことだ。
「デラックスの上ってなんだっけ? エクセレントか?」
パージしたフライトユニットの上に座り、次の名前を考えていたらジージーから連絡が入った。人影がそちらに向かっているとのことだった。
「人間?」
「だと思う。人間じゃないスピードで走っているけど」
「ボクのところに向かっているの?」
「だと思う。まっすぐ向かっているわ」
なんか電波でも出しているのか? なんかの魔法か?
「あと一キロよ」
上を見たら鷹のような鳥が旋回していた。
「……鷹の目か……」
冒険者が鷹を使い魔にして索敵するって話を聞いたことがある。たぶん、それだろう。
ヤッホーと手を振ってみたらどこかへと飛んで行ってしまった。
「ジージー。手を出さないように。でも、危険なら助けて」
ハラーシもハゼフもいない状況では自分の力でどうこう出来る自信はない。ボクは鉄を打つしか能がないからだ。
上空で鷹がピーと鳴いており、しばらくして身長二メートル半はありそうな男が現れた。デッカ!
「人間?」
つい尋ねてしまった。
「それはこちらのセリフだ」
なんだろう。お前に言われたくないみたいなニュアンスは? ボク、女としては背は高いほうだけど、どこにでもいる美少女だよ。




