第293話 艦長代理補佐地上担当長
アイス売りの少女。
って言葉(名称か?)がエマンの町に生まれていた。
売るなら見た目がいいほうがいいやろ。なんていう単純な理由から少女に売ってもらうようになったのだが、なんだかエマンの町の名物みたいな感じになっていた。
マッチ売りの少女より、悪い子はいねがぁ~! なところにアイスを売るオールドおねーさんがいたな~って頭を過ってしまう。
ここら日差しが強いので、アイスを売る少女たちには麦わら帽子を被らせて、白い制服を着させているのも有名に一役買っているんじゃなかろうか?
「ボス。また働かせてくださいって娘が来ましたよ」
なんかボス呼びが固定している今日この頃。皆様はどうお過ごしですか? ボクは気にせず鉄を打っておりますよ。
「また~。そう来られても困るんだよな~」
ここは、需要と供給を知らんのか? たくさん出したって儲けられるわけじゃないだろうに。
「断った?」
「もちろん。帰ってくれないからボスに相談に来た」
相談、ね。ハチヤたちは日々進化しているな。この星の人間を下とは見てないし、女性を敵だとも思ってはいない。どんなカルチャーがあったんだろうな?
「わかった。ボクが相手するよ」
即席の鍛冶場から出て、タオルで汗を拭った。
ボクの肩書きは、艦長代理補佐地上担当長だ。そして、グージー商会の総責任者。一般的にはお偉いさんとなるだろう。
ロンガー一家にもボクが代表者とは伝えてある。もうウワサは流れているだろうが、現れたボクに娘さんたちが驚いた。
「どうも。ボクはレイだ」
やって来た娘さんたちは四人。皆、十五歳くらいだ。
小さな町なら十も過ぎたら働くこともあるが、大きい町なら今くらいの年齢で働きに出る。
安く働かせようとするアホもいるが、雇うならしっかりと戦力になるほうがいいってヤツもいる。治安がいいか悪いかの試金石でもあるな。
そう考えたらエマンの町はいいところなんだろうよ。魔物もそういないみたいだしな。
「君らはエマンの娘かい?」
「いえ、サドラ村から来ました。ここから歩いて二日です」
かなり遠いところから来たものだ。一泊は野宿かどこかの村に泊まったようだ。
「そのサドラ村には仕事がないの? 身なりはそこそこよさそうだが」
長く着てはいるが、継ぎ接ぎした様子もなく、破れたところもない。そこそこ食えてはいた家の娘たちだろう。
「はい。魔物が出てたくさん人が死んだんです」
「売られたの?」
この国に奴隷制度があるとか人買いがいるとかは聞いたことないが。
「いえ、自ら来ました。エマンは賑やかだと聞いて。エマンではグージー商会が勢いがあるって聞きました」
へー。グージー商会って勢いがあったんだ。そりゃ知らんかったわ。




