第292話 変化
十日過ぎた降りるのを許可した。
「しばらくこの星に慣れるように」
そう言ってボクらは船でエマンの町に向かった。
なんやかんやとあったが、食糧を調達しやすい土地だ。島との交易できるようにしておくべきだろう。
いつものメンバーでエマンの町に到着すると、ハチヤたちが迎えてくれた。
「なんかエンジョイしているわね」
もう地元民と変わらなくなっていた。
「エンジョイがなんなのか知らんが、楽しくはしているよ。地上暮らしは最高だ」
口調も変わっているよ。まったく、この短期間で変わったものだ。
「それはなにより。なにか問題はあった?」
「アイスが人気になりすぎて、いろんなところで出してくれって言われるよ。どうする?」
「うーん。あまり大きくしても面倒だからな~。バカが現れるまではこのままにしようか」
儲けると欲にまみれたバカが現れるものだ。そんなのが現れるまで放置で構わんだろう。
「バカが現れたら密かに排除しておいて」
「バカなことって?」
「ハチヤが気に入らないと思ったらで構わないよ。ただ、気に入った相手ならボクに言いな。増産させるよう動くからさ」
ルクセル人は、ルールだと言えば従う。従いはするが、不満は溜まる。それを無視しても従えさせる手段があったのだろう。だが、ボクにはそんな手段はない。あったとして使う気はない。ボクは昭和の価値観で生きているからだ。
昭和の価値観が正義だとは言わない。それどころか悪いことばかりの、何千何万と脱落者を生んだ暗黒期だと思っている。
だが、ボクはその時代を必死に生き抜いたのだ。今さら変えるなんて器用なことは出来ない。若いのはアップデートとか言っていたが、それは若いから言えるのだ。五十、六十になったときにやってみろ。そんなこと出来るのは極一部。自分が思っている以上に人間はそんなに器用じゃないって知るだろうよ。
「……それでいいのか……?」
「構わないよ。ボクたちにはそれが出来るんだからな。まあ、あまりバカなことはしないでくれ。恨まれるのも面倒だからさ」
これで図に乗るような排除しなくちゃならない。ボクは無条件で許すつもりはないかだ。
「わかっているよ。酒場に行けなくなるのは嫌だからな」
基準はそこかい。まあ、信用出来る理由ではあるがよ。
「食糧品はどうなっている? 降伏したルクセル人を連れて来たから消費も多くなるんだよね」
「物流が増えたから問題ないと思う。どうもグージー商会のことが知れ渡っているようだ」
目立つことをしているのは当然。目立たないようにしないようにすることも無理。なら、バカが現れることを前提に動けばいいだけだ。




