第287話 パワハラ(笑)
問題もなく戦艦ライエンクルの権限はボクに譲渡された。
まあ、譲渡されてもボクに操縦出来るわけでもなし。人事権だけボクがもらい、動かすのはライエンクルの艦長だったラルドラって者に任せることにした。
ソドといたロクスドは司令官にしよう。あっちのほうが階級が高そうな感じがしたしな。
戦艦を動かす最低限の人数をラルドラに集めてもらうと、十人もいなかった。九人で動かせるものなのか、戦艦って?
「ボクはレイ。君たちから見たら異星人だ。ただ、魂には別の星の記憶が刻まれている。超能力者部隊のソドがジェベリックって言ってたが、わかる?」
「ソドも降伏したのか!?」
「おや、知っているのかい? ボクとの交渉で喜んで降伏してくれたよ。話のわかる者は助かるよ」
なんか懐疑的な目や嘲るような目を向けらた。
「ふふ。ボクがソドに操られているとか思っている? 残念。超能力を防ぐ力がボクたちの星にはあるんだよ。と言っても精神感応なら、だけどな。他の超能力者はこれで防いでいるよ」
収納の鞄から酒瓶を出した。
「これは酒だ。美味しい美味しいお酒だ。君たちが作る密造酒とはまるで違うものだ。ボクに降伏した者たちは笑いながらこれを毎日飲めている。毎日美味いものを食えている。忙しいときは別だが、そうでもないなら八時間労働だ。五日働いて二日休日を与える。星に馴染めばどこにでもいける。いろんなお酒が飲めて、いろんな美味しいものが食べられる。戦いも強制はしない。勝てないなら逃げる権限も与えよう。信じられないのなら降伏した者に尋ねるといい。軍に戻らないのかってな」
自由を知ってしまったらプなデのカルチャーと叫ぶだろう。そして、戻りたいなど思わないだろう。それがカルチャーショックだ! いや、知らんけど。
「だからと言って軍に戻りたいなら戻っても構わない。ボクが欲しいのは君たちの技術と労働力。帰れるようになったら帰ったらいいさ」
木の器を出して葡萄酒を注ぎ、飲んでみせた。
「美味い! もう一杯!」
いや、そんなにお酒に強くないんでそんなに飲んでないんだがな。でも、美味さはわかる。うめーぞ~。ほらほら。
酒瓶をさらに出し、木の器に注いでやった。
「ここではボクが上。上が飲めと命令している。なら、下は従うしかないよな」
どんなパワハラだと思うが、そのパワハラが通じるのがルクセル軍だ。
「わ、わかった。従おう」
艦長のラルドラが木の器をつかみ、葡萄酒に口をつけた。さては密造酒を飲んでいた口だな。
「ほ~ら。お酒はいっぱいあるぞ~。上の命令だぞ~」
木の器をさらに出し、葡萄酒を注いでみせた。逆らうな。無情な上司の命令に従うのだ~!




