第278話 遊び
「ソドも元の宇宙に戻りたいわけ?」
「戻れるなら戻りたいですね。役目があるので」
どんな役目かは訊かないでおく。どうせ答えないだろうから。仮に答えたとしてボクに確かめようはない。戻りたいか戻りたくないかを聞ければ充分だ。
「何年掛かっても?」
「はい。何年掛かってもです」
精神感応力がありながら、いや、あるから精神を制御出来ているのかな?
「それまでに戦死扱いされてないといいがな」
「生きていれば撤回されます」
「実に柔軟性のある集団だ。下は使い捨てにしているのに。それだけ君が重要ってことだね」
にっこり笑って見せた。
「君は賢いが、言葉選びが下手だ。ウソも下手。人の心がなにもわかっていない。グージーの前では気をつけなよ。ボクとの行動で学習しているから。言葉から考察することが出来るようになっているぞ」
「……レイは、グージーを信じていないのですね……」
「信じれる要素がどこにもないからね。まだ、ルクセルのほうが信じられる。君ら、ウソが下手だからね」
「ウソ、ですか。そんなに重要なので?」
「重要でないと思うなら無視すればいいさ。ボクにとっては好都合だ。グージーもルクセルも行動がわかりやすいからな」
ウソは人間の武器となる。そんな武器を失くした種はわかりやすい。行動が合理的だからだ。効率化効率化と叫んでいるバカどもと同じだ。
「君は、今でもボクの頭の中を探ろうとしているだろう?」
「まったく見えませんがね」
「ほら、それがダメだ。ウソを付けないから否定から入った。そこはバレました~とか笑っておくところだ。肯定しながらも隠しておきたいことは見せない。あと、君はボクを見すぎだ。観察していることがバレバレだ」
しょうがないな~と艦長を見た。
「その目でボクのことがわかったかい? 機械の目では表面的なことしかわからないよ」
義眼であることはわかっていた。金属の臭いがするからな。
「効率化、最適化、実によろしい。求めるのもよくわかる。だが、それは答えを相手に教えているようなものだ。仲間とはぐれた。移動手段がない。ないのなら奪えばいい。合理的な答えの帰結。相手から奪うことが効率的な答え。で、君らはここにいるわけだ。こんな結果を君らは計算出来たかい? こんなことを考えられる者がいると考えたかい?」
ボクは考えられたし、計算もした。グージーもルクセルも元の宇宙に戻りたいのならどう動くかと、な。
「君らは効率化、合理化を進めすぎて単純になったんだよ。不合理を考えられなくなった。人は不合理な種なクセにね」
だから歪みが出て来る。歪みを排除する。それは歪みではなく遊びだというのにな……。




