第276話 交渉成立
「君たちは、どうする? 自力で探す? 諦めてこの星で暮らす? それともここで……」
サイキックバトルをするか、だ。
「……勝てる算段はあるということですか……」
「ないこともない、ってだけさ。もしかしたら負けることだってある。君の隠しているもの次第で、な」
「だから交渉ですか」
「そーゆーこと。なにも戦うばかりが手段じゃない。交渉でお互いの欲しいものを得ることだって手段さ。時間は掛かるがね」
ボクは戦争を否定しないよ。こんなファンタジーなワールドで生きていると弱肉強食感をより強く身に染みるからだ。
弱ければ食われる。強ければ食える。事実としてあるのだ、食われたくないのなら強く賢く臆病に、にならなければいかんのだ。
「魂の記憶がある時代はこの星の技術より五百年先を行き、君たちの宇宙技術より五百年は遅れている。ボクとしてはこの星の技術を二百年くらい進めたいと思っている。故に、ボクはグージー側に力を貸しているわけだ」
見返りもなしに協力しているわけではない、ってことを見せた。
「そこにこちらがどう関わるというので?」
自分の頭を差した。答えはここにあると。
「……なるほど。グージーらしくてグージーには出せないものですね……」
「その点、ルクセルの考えは単純明快で助かるよ。ボクの思考はルクセルよりだからね」
グージーもルクセルも蟻の群れ。蟻の社会。でも、ルクセルのほうがまだ人間的だ。交渉するならルクセル側のほうがまだマシだ。さらにソドは人間的考えが出来ると見た。手を組むならソドだろうよ。
「いいでしょう。あなたに投降します」
「じゃあ、グージー側とは元の宇宙に戻るまでは休戦。この星に落ちた艦隊との仲介をお願いする」
「わかりました」
「交渉成立ってことで握手」
「はい」
ソドと握手を交わした。
「まずはグージー側の代表と会わせるよ。一応、ボクは艦長代理補佐って立場だ。この星での活動する全権を与えられている」
今現在、マルシアがトップだ。いろいろルールはあるが、マルシアの優先事項は元の宇宙に帰ること。それが主となる行動をすることを求められている感じだ。
なら、ルクセル側と休戦することは許容内。そして、ボクの提案を蹴ることも出来ない、ってことだ。
ジージーとハラーシの頭をコンコンして妨害を解いた。
「……レイ……」
ジト目なジージー。あら可愛い。
「ごめんごめん。咄嗟だったんだよ。二人がソドに支配されたらボクでは太刀打ち出来ないからさ」
ソドは二人の精神を支配した上でマニュアーを強奪するつもりだったのだろう。ボクを殺して、な。
二人を相手に勝てる手段などないのだから眠らせるしかなかったんだよ。
「ほら。こうして無事にルクセルと休戦を結べたんだから許してよ」
まったく、ソドと交渉するよりジージーの機嫌を取るほうが難しいよ。




