第274話 ソド
「ハラーシ、ジージー、こっちに」
二人を近くに呼んで肩に腕を回した。
「どうしたの?」
「罠に嵌められた。ちょっと眠ってて──」
二人の頭をコツンと突っついた。
「────」
「────」
電気が走ったように体が仰け反り、力を失くした。
「まったく、厄介なのがいる」
二人をマニュアーの足元に寝かせた。ごめんよ、咄嗟のことだったんだ。
収納の鞄から槌を出し、ブンブンと振り回した。
「さて。いるんだろう? 言葉がわからないとかは言わんでくれ。学ぶ時間はたくさんあったし、言語を習得出来る超能力なんだろう?」
これでいなかったら激恥ずかしいだろうよ。
「……なんでわかったのだろうか?」
迷彩装置でも使っていたのだろう。五メートル先に青い髪の美少年がいた。女だったら負けヒロインだよ。
「こんな状況下でのセオリーみたいなものさ。この場合だとお約束って意味だね」
「…………」
「ふふ。わからない言語に戸惑ったかな? それとも君の超能力が効かなくて動揺しているのかな?」
槌で自分の頭をコンコンと叩いてみせた。
「ボクはこの星の者さ。頭に埋め込んだものはない。原住民の頭を調べるのに苦労したんじゃない? いや、苦労した者がいたことに疑念を感じたかな?」
魔力を持たない者なら精神感応能力は有効だろうが、この星には幻術ってものがある。効果を示す魔法もあれば防ぐ魔法もある。今、ボクに使っているだろう精神感応も効かないことに驚いているんじゃないか? 顔に出さないのは笑い方を知らないだけだろう。無表情だし。
「……よくしゃべりますね……」
「会話はコミュニケーションの一つだよ。誰もが君みたいに胸のうちを読めるわけじゃないからな。読めているかい? ボクの胸のうちを?」
思考を読んでいるのなら言語を変えるだけでも防げるはずだし、感情を読んでいるならボクは凪のように穏やかだ。いや、おもしろいと思っているな。まさか、異世界で超能力決戦とか燃えるだろう!
「ふふ。まずは自己紹介をしようじゃないか。読めないのだろうからな」
「いいでしょう」
未知の相手に不用意に手を出すものではない。知識ではなく感覚で理解しているんじゃないかな?
「ボクはレイ。この星の住人さ。今はグージー側に協力している」
「わたしはソド。超能力部隊を指揮しています」
「見た目はわかいが、長く生きている感じがするね。この星の時間でいうなら五百年以上は生きていそうだ」
五百年は適当。不老不死に近い存在なをじゃなかろうか?
「そちらは、この星の生命体と思えないですね」
今、必死になってボクの胸のうちか、頭の中を探っているんだろうな~。




