第272話 追跡
スマホでこの周辺の地図を見る。
人工衛星からのリアルタイムの地図であり映像だ。見ていて飽きがこない。地図を見て楽しいとか思う嗜好はなかったんだがな。
北に深い入り江となった地形があり、脱出ポッドは反対側の半島にいる感じだ。
索敵兵のルクセル人は、そこを目指しているのだろうと思う。
「リキ。熱反応はある」
シャレイン2に飛んでもらい、調べてもらっている。
「ないね。周辺にもないかな」
なんか軽いリキ。個性がなさそうであるタイプなのだ。
「ハラーシ。脱出ポッドって回収する価値はあったりする?」
「ないわね」
「じゃあ、放置で」
ただ、脱出ポッドの情報はスマホに送ってもらった。
「最大、五人まで乗れるんだ。てか、脱出させて回収してもらえるのか?」
「余裕があれば」
なければ放置ってわけか。もう運じゃん。脱出ポッドの意味!
「通信している形跡は?」
この星の空の六割はグージー側のものとなっている。残りは未知の電波障害とルクセル側による妨害です。ファンタジーこえ~!
「こりゃ、落ちる前に打ち合わせしているか、索敵兵が脱出ポッド組を囮にして逃げているかだな」
索敵兵のほうが階級が上なら脱出ポッド組がこちらへ向かって来るはず。逆に脱出ポッドのほうが階級が上なら索敵兵がそちらに向かう。
だが、どちらも離れて合流してるように見える。通信もない状況で、だ。
仮に索敵兵が本隊と合流を考えているとして、だ。何年計画だよって話になる。本隊がいる場所はそこから四千キロは余裕で離れている。さらに海を隔ててた先だ。絶望的と言っていいだろう。
ここまで考えれるヤツならそれもわかっているはず。わかっていてやるにはなんらかしらの理由が必要だ。策も必要だ。
「エマンの町に来たってことは、船で移動しようと考えたんだろうな。でも、ボクらがいたことで計画を余儀なくされた。急いで町を出たところでボクらと遭遇。運が悪いのか、ボクらの運がいいのか、さて、どちらだろうな?」
「つまり、どういうことなの?」
ハラーシは早急だな。いや、グージーは全体的に考えるってことはしない。命令に忠実。だが、予想推測憶測をしない。それをするのは上の仕事。まったく、その頭脳が逃げちゃったんだから罪深いよな。
「別の港に向かうしかないってこと」
簡単なことだが、その簡単な推測すら出来ないってことが問題だと言いたいのだ。
階級による問題。考えないことによる個性の消失。まあ、それならそれで扱いやすかったりもする。
「別の大陸へ行ける港を探して」
そう指示を出すだけで探し出せるのだからありがたいものだ。




