第266話 エマン支店長ハチヤ
根は下ろさないとは言え、拠点となるところは欲しいので、ロンガー一家の伝手で空き家を探してもらうことにした。
何軒かあるので内見をして周り、郊外にある大きめの庭のある一軒家を借りることにした。
「充填機を置いて、マニュアーを並べてみるか」
町の外にも出やすく、夜中にステルス性の高いシャトルを降ろすことも出来る。問題は、誰をここに置くかだ。
「ハチヤ。悪いが、しばらくここをお願いするよ。必要なものは用意するから
」
「オッケー」
「軽いな」
「いや、酒場がたくさんあったから喜んで任されるよ」
「ボス、おれも残らしてくれ」
酒場マニアか、お前らは!
「まあ、いいよ。沖合いに補給船を置くから必要なものは運び込んでよ。あと、小まめに買った品も運んで」
「「オッケー!」」
いい返事をする超能力者コンビだよ。
「じゃあ、ハチヤが支店長。トウジは買付長だ」
まだこの星どころかエマンの町にも慣れてないのでボクも秘書として付くことにした。
「商会としてやって行くならなにか売ることもしないとな。なにを売ろうか?」
これと言って思い浮かばない。そういうところが商売人に向いてないんだよな、ボクって。
「アイスでも売ったら?」
と言ったのはシャレイン3のパイロットで、地上に下りたいと付いてきたハルアだ。
ハルアは二十代半ばに見える女性で、ジージーより年上と言っていた。
無口キャラかよ、と言った感じで、必要がなければ口を開くことはなかった。
「なんで?」
「食べたかったから」
無口じゃなく天然だったか?
「まあ、売るものはなんでもいいんだし、アイスにするか」
儲けのためにやるんじゃなく、商売をしていますよ~って体を保つためのもの。提案が出たのでアイスを売ることにした。
「さすがにハチヤやトウジに売らせるのは絵面的に悪いから地元の女の子でも雇うか」
野郎二人がアイスを売っても可愛くない。やはり売り子は女の子にしよう。
アイス売り用の屋台を四台造ってもらうように連絡し、次の日には支店に届けられた。
味はバニラとオレンジの二種類。まずはこれでやってみるとしよう。
「うん。美味い美味い」
皆で試食。概ね好評だった。
「コーンカップ、この時代で通じるか?」
アイス自体がないのにコーンカップが食べられるとか理解されるだろうか? まずはロンガー一家に試食してもらって広めていくしかないな。
「まずはボクが先頭に立つか」
秘書らしい姿から売り子にマジカルチェンジ。ボクは可愛いアイス売りの少女です~。
………………。
…………。
……。
うん。恥ずかしぃ~っ!




