第265話 美人秘書風
さすがに船の容量を疑われそうになったので、ライルに島に戻ってもらうことにした。
さらに一日で戻って来たら怪しまれるので、別の船で来てもらうことにした。船長は海賊島から連れてきたロザンって男にお願いした。
ロザンは商人だったらしいが、商人としての才がなかったようだ。まあ、商才がなくとも船はAIで動いているので問題なし。
次の日には来てもらい、オレンジを積み込んだ。
「グージー商会って、とんでもないのか?」
「そうですね。所有している船は十数隻となりますので、大商会となると思います」
メガネをクイっと上げて美人秘書風を模した。
ライルはいないので、秘書って立場のボクが相手することになったのだ。あ、美人ってところには突っ込まないように。
てか、久しぶりにスカートなんて履いたから股がスースーするな。守るものはないが、守りがないと不安になるや。
「十数隻? 国だってそんなに所有してないぞ」
維持費が大変だもんな。国で所有するには厳しいだろうよ。海洋国家でもないならな。まあ、海洋国家がどれほどのものか知らんけど。
「他の国にも船を出しています。魔道具がある国、麦が盛んな国、人ではない獣が支配する大陸。様々なところに商売しに行っております」
まあ、ウソは言っていない。ワールドワイドな宇宙人ってことなんだからな。ちょっと意味がわかんないが。
「……そんな大商会だったとは……」
「ここでは名もない商会。よろしくお願い致します」
なんてお願いされてもロンガー一家としては戸惑うばかりだろう。名も知らない商会とは言え、船を十数隻所有し、他の国とも商売をしている。
内陸の無知な商人ならまだしもここは港町。船のことを熟知し、一つの船が生み出す財もわかっているだろう。なら、十数隻から生み出す財はいかほどのものか。わかるだけに戸惑うんだろうよ。どう扱っていいのかとな。
「グージー商会はこのローラルト王国に根を下ろすことはありません。右から左に移すことを主な商売としています。国なら国へ。またこの国へと品を運ぶ。それがグージー商会でございます」
そして、宇宙へと送る。実に商人みたいなことやってんな、ボクって。
「世界に羽ばたきたいときはグージー商会へお声をおかけください。安くご相談させていただきますよ」
安全に航海出来るとは言わないがね。そこは自己責任です。
「あのアルブズモドキも売ってもらえるのか?」
「まあ、買いたいというならご用意致しますが、馬車を買ったからと永遠に使えるわけではない、ってことをお忘れなく。水も草もいらない代わりに魔力を必要とします。手入れも必要です。案外、金食い虫ですよ、あれは」
それでも欲しいなら喜んで売りまっせ。




