第260話 公序良俗
船はすぐに用意され、船長は連れて来た者から選んだ。
てか、アングラール王国海軍甲板長だった男、ロックスを船長にした。
「悪いね。船長なんて任せて。やれる人がいなかったんだよ」
クージーから選ぼうとしたら回せる者がいないと言われてしまった。なので、連れて来た者を使うことにしたのだ。船は宇宙技術で一人でも自動でも動かせれるからな。
「いえ、お気になさらず。船は元々好きですから」
「それはよかった。船長としての給金は弾むからよろしく頼むよ」
「もらえても使うところがないのが悲しいですね。服も食事もタダなんですから」
「女のボクが勧めるのもなんだけど、陸に上がったら女遊びでもするといいよ。変な病気をもらってもすぐ治せるからさ」
宇宙薬は梅毒くらい薬で簡単に治せる。なんなら予防も出来る。好きなだけ欲情するがよい、だ。
「あはは。女性に勧められると萎えますな」
「ふふ。そうだね。そういうのは男同士でやるものだった。緊急要請を出せば助けに行くから好きに遊ぶといいよ。ボクは口出さないから」
この時代じゃ公序良俗なんて薄い。いや、あることすら疑わしいくらいだ。
但し、島では公序良俗は求める。そんな面倒な社会になると維持するのに時間と手間を掛けられるからだ。それをやる人手もいないんだからな。
「マニュアーを三機、卸してみるか」
「危険ではないの?」
ボクの一人言にハラーシが反応した。聞こえるんだ。
「まあ、危険なのは危険なんだが、マニュアーが使えない状況が面倒なんだよな~」
せっかくあるのに使えない。なら、広めるしかないだろう。
「もちろん、ハラーシが言っている危険性もわかっている。この星ではとてつもない兵器となるからな」
軍事力として目を付けれないほどこの星の人間はバカではない。脅威と感じ、その脅威を求めるだろう。
「まあ、その脅威に勝てるのがこの星にいることも忘れちゃならない。ハラーシは単独でマニュアーと戦える?」
「剣しか持ってないのなら勝てると思うわ」
「じゃあ、他の武装は外すとしよう。剣と盾装備なら現地人にでも勝てるしな」
マニュアーを剣で斬れるほうが間違ってんだよ。ほんと、斬れないから。普通は斬れないんだよ。それを斬っちゃうからファンタジーって恐ろしいのだ。
「……この星の生命体が一番の脅威だったわね……」
そうだね。脅威だからって滅ぼさないでくれよ。命は可能性の塊なんだからさ。
「ってことで、マニュアーをお披露目しようか」
マニュアーを世に出せばこの星のクリエイターが動くはず。この星産のマニュアーが数百年早く生まれることだろうよ。




