第259話 移住
次は港に向かってみた。
宇宙技術が至るところに使われているので近代的、いや、未来的な港となっている。
ただ、桟橋に繋がれているのは帆船。宇宙技術を満載した帆船がな。
今のところハルジームの町とザンテカの町からしか食糧調達しておらず、船が待機しているだけなので活気はない。そもそも人がいない。
連れて来た人数では視界に入るような動きもしてもらえない。千人規模で移住させないと無理だろうな~。
だからと言って誰でもいいわけではない。仕事をしてくれる人ではないと社会は成り立たないだろうよ。
「難しいな~」
「人って必要なのか?」
「トウジは酒場は好きか?」
「え、ああ、まあ。あの賑やかさは悪くない」
「そうだな。その賑やかさってのは人がいることで成立しているものだ。人が働き、生活をして、いろんなものが生まれる。それが町になるんだ」
グージーもルクセルも何百年も前に忘れた事実。学ぶにはまだまだ時間が掛かりそうだ。
「それに、ボクらは圧倒的に少ない。仮に、グージーとルクセルを集めたとしても三千人といないだろう。仮に元の宇宙に帰れるのが百年後だとして、それまでこの星で生き抜かなければならないし、残るなら生活基盤を整えなければならない。そのためには拠点となるところが必要となる。その拠点を維持管理するには人が必要。循環を作らなくちゃならないんだよ」
技術だって資材だってそこら辺から生まれてくるわけじゃない。宇宙技術だって整備しなきゃ朽ちるだけ。ただ黙っていたら衰退するだけだ。
「最低でも百人は連れて来ないとならんな~」
連れて来た者たちには一軒家を与えて家庭菜園から始めてもらい、適正を見て仕事を振るしかないだろう。
「ここから近い都市ってどこかな?」
「約六百キロ先にあるわ」
人工衛星からの映像をスマホで見てみる。
東京青森間、ってくらいの距離かな? 飛べば一時間も掛からないだろうよ。
ハルジームの町とザンテカの町から船が来るのは無理な距離だ。まずはそこと航路を結ぶか? なら船で行ったほうがいいかもしれんな。
「行ってみるか」
またグランダルクの町に行くことが遅れるが、一人が潜入しててくれている。皆が無事なら会えないくらいどうということはない。今のボクは艦長代理補佐であり、約束した責任がある。
なにより、この星の技術を押し上げる夢がある。感傷に浸るのは二の次だ。
「ハラーシ。ここに向かってみようか。帆船の準備をするように伝えて」
「オッケー」
さて。なにを運ぶとしようかね。さすがに空荷で行くわけもいかんからな。また葡萄酒でも運ぶとするかな?




