第255話 基地司令
アクアは垂直離陸が出来るので、管制塔の近くに降ろした。
「島の指揮官は誰?」
「ハルフィー4よ。シャレインのパイロットね。基地司令って名称にしたみたいよ」
「4ってことはかなり上の位なの?」
「シャレインの副隊長ね」
「隊長は?」
「戦死したわ」
それはご愁傷様です。
管制塔に入り、ハルフィーとご対面。歴戦の名パイロットって感じの女だった。
顔に皺がある女、初めて見た。歳が行ってても精々三十歳くらいの見た目だったのに……。
「あんたがレイかい?」
「ああ。初めまして。この星の人間で、艦長代理補佐を任されている。よろしく」
握手も敬礼もないってのも不便だよな。敬意を表す手段がないんだから。
「ああ、こちらこそよろしく頼むよ」
「結構、長く生きている感じ? 人間らしさが出ているが」
「そうだね。三百年は生きていると思うよ。そろそろ機械化しないと脳が壊れて死んでしまいそうだ」
ジョークか? グージー流のジョークなのか? 若いのしかいないから年配がどんなもんかわからんよ。
「機械化した者って多いの?」
「第一戦闘位者は完全機械化したヤツらだね」
「あー……」
なるほどね~。戦争が終わらない理由が見えたような気がしたよ。自ら柔軟性を捨てたわけか。
「……生命体としての可能性を捨てちゃったってことか。惜しいことをしている……」
効率化を求めたとき、人は退化する。可能性を潰した生命体に未来はないだろうよ。機械の未来は知らん。
「惜しいのかい?」
「ボクから見たらな。その足は戦いで?」
ハルフィーから金属の臭いがプンプンする。太ももから下は機械の足になっているのがわかった。
「わかるのかい? センサーも誤魔化すものなんだけどね」
「ボクの鼻は逃さないよ。かなり巧妙に造られているが、金属の臭いからは逃れられないよ」
「へー。さすがルービーを黙らせたヤツだ」
「仲がいいのかい? あの約束を平気で破っちゃう子とは」
「ふふ。子供扱いか。まあ、まだ若いから感情が抑えられなかったんだろうよ」
「感情、ね。あの子も半分くらい機械になっていたが」
「脳はそう簡単に機械化は出来ないのさ。じっくり慣らさないと拒否を起こすから」
「人間の、生命体のアイデンティティーが拒否するんだろう。そういう事例、たくさんあるんじゃないか?」
「……ああ。ある。表には出ないがな……」
「グージーってのはボクたちが想像しえることをすべてやっているな。滅びたいのか?」
次の段階には行けない種族だな。
「さあ、どうだろうね? わたしとしては死にたくないとは思っているよ。死ぬのは怖いから」
「死が怖いのは人として当然の感情さ。でも、死を忘れたときからそれは人ではなく、情報を積めただけの金属になったってことさ」
スマホを出して振ってみせた。




