第248話 収納の箱
「ボクが求めていたのはこれじゃないんだがな~」
悲しいかな。金銀財宝はなく、あったのは、いや、いたのはたくさんの若い女たちだった……。
「人身売買かい。やってたのは」
そんな話、ザンテカの町ではまったく聞かなかったぞ。統治機構どーなってんね!
「ボクたちは海賊壊滅専門商会だ。君たちにどうこうするつもりはない。故郷に帰りたいのなら帰してあげよう。ここにある者は君たちにあげるから金目のものを集めるといい」
ハァー。なんかブチ切れるのも削がれた。やる気も削がれた。熱い展開を期待してたのに残念だ。
「ボス。これ、たくさん入る鞄じゃないか?」
ハゼフが酒を飲みながら小綺麗な鞄を持って来た。飲むのは帰ってからって言ったよな?
酒瓶を奪い取って残りを飲み干した。美味いな、これ。
「この鞄は他にもあった?」
「ああ。たくさん飾ってあった。なんでかと思って持って来た」
なるぼど。そういうことか。道理で金銀財宝がないはずだ。収納の鞄に入れていたわけか。クソ。一本取られたわ。
そこに案内してもらうと、一際豪華な屋敷の豪華な部屋の壁に十近い鞄か掛けられており、その下には金属製の箱が並んでいた。
「おー! まさかこんなところで見つけられるとは夢にも思わんかったよ!」
金銀財宝より求めていたもの。それは収納の箱だ。あることは知っていたからいずれ出会うだろうとは思っていた。それが海賊島にあったとは。諦めて帰らなくてよかった~!
「八個もあるとは。海賊、やるじゃん!」
こんなことなら殺すんじゃなかった。出所を聞けないじゃないか。ボクのバカたれ!
鞄はあとにして箱を開いた。期待ハズレってこともあるからだ。
蓋には鍵は掛けられておらず、すんなり開いた。
「暗いな」
だが、それが収納の箱であることを説明している。
念のため、近くにあったグラスを入れてみる。まるで水に沈むように暗闇に消えて行った。
「うん。ボクが入れたものがわかる仕様だ」
そして、腕を入れても問題ないことを証明していた。
グラスを取り出し、また暗闇に腕を突っ込んで手に当たったものをつかんで出してみた。
「金貨とごたいめ~ん」
収納の鞄や箱ほどの感動はなかったが、金銀財宝にも出会えたことにニンマリした。
「ハゼフ。今日は、ここにお泊まりだ。ここにあるお酒を好きなだけのんでいいぞ」
「最高だぜ、ボス!」
ボクも最高だ。今日は祝杯を上げるとしよう。
「ハラーシ。ジージーたちも呼んで。ボクたちはお風呂で祝杯を上げるとしようじゃないか」
これだけの屋敷だ。お風呂は絶対にある。久しぶりのお風呂で冷えた葡萄酒をいただくとしようじゃないか。フフ。




