第246話 どっちが海賊だか
「おー。やっぱり金持ち区だ~」
歩いた距離から言って、陸のほうに移動したんだろう。先ほどの首長竜がいた入り江(池状)とは違い、ちゃんと船でやって来れる綺麗な入り江だった。
「見つけられなかったのは網で擬装していたからか」
まあ、ここのヤツらからしたら日除けとして張ったんだろうな。海の日差しはキツいから。
「ロイド。建物に傷をつけないように。降りて戦えたり出来る? 無理ならハチヤを呼ぶが」
「殺していいのか?」
「構わないよ。きっと美味しいお酒があるだろうから壊さないように頼むよ」
こんなところにいるヤツだ。いい酒飲んでんだろうよ。ボクたちが回収して美味しく飲んでやるから安心して天に召されてくださいませ。
「任せろ!」
ロイドは、賢いのは賢いのだが、どうも欲に忠実になっている。シックスのように一人で落ちていたら冒険者として自由気ままに生きてたんだろうな~。
「ハラーシもよろしく。気が向いたらでいいから何人か捕まえてよ」
「曖昧ね」
「どうでもいいからさ。まあ、生き残ってたら尋ねようかな~ってくらいの気持ちがあるだけだ」
別に交渉したいわけでも真実を知りたいわけでもない。お金があったら働かなくていいかも、ってくらいだ。ないのならないで働けばいいだけのこと。輸送力を活かせば大金が入ってくるんだからな。
「ちなみに、同じ星に生まれたからってクズを同族とは思ってないから」
ただ、同じ星に生まれただけ。人間に生まれてきただけのクズだ。仲間とも同族とも思ってないから殺すことにも躊躇いはない。それどころかこの星が綺麗になってすっきりした気分だ。
「レイみたいな指揮官だったら多くの仲間を失わずに済んだのにね」
「さて、それはどうだろうな。戦争は一個人ではどうにもならないから」
個人で解決出来るなら戦争ってのは楽なものだろうよ。憎しみが憎しみを呼び、敵意しか生み出さない。そんな世界などボクはゴメンだよ。
「わたしは、レイが指揮官でよかったわ」
「代理の代理だがな」
元の宇宙に帰れたとき、主命令が下されたとき、ハラーシたちは逆らえないだろう。ジージーのようにプロトカルチャーだかデカルチャーだかが起きない限りは、な……。
「それでも、それでもレイがいてくれてよかったと思うわ」
残念ながらボクは全面的にグージーを信用はしてない。頭の中のチップがある限りは。だからその備えとしてルクセル人を引き入れている。男は単純だから利と欲を満たしてやればボクのほうに付くからだ。
「ふふ。その信頼には応えるよ」
信頼はする。それに嘘偽りはない。ただ、信用はしないだけなのだ。




