第234話 ルクセルの四人
八時間くらいしてやっと四人が起き出した。
こちらを信用してか、それとも諦めからかはわからないが、表情も気配も落ち着きを払っていた。
「君たちがよければ場所を移動しようと思う」
「……わかった……」
答えたのは細マッチョのルクセル人だ。たぶん、こいつがリーダーとなって動いたのだろう。
「トウジ、行ける?」
「問題ない──」
七人を跳ばし、アクアの横へと出現させた。
「……これがパニシャーか……」
ルクセルでも驚くべき能力のようだ。
「山の家に頼むよ」
あそこが安全だろうし、この四人が安全かもわからない以上、山の家が緩衝地帯として有効な場所だろうよ。
「四人の名前──はないから、こちらで付けていいかい?」
「名前?」
「この星では名前が必要だからね、こちらで勝手に付けさせてもらうよ」
「そうか。好きにしてくれ」
「なら、君はロイド。君なライル。君はハゼフ。君はジルスだ」
覚えるように復唱させた。
「君たちは、皆マニュアー乗りだったのかい?」
到着するまで時間があるので葡萄酒を出してやった。お茶とか持ってないので。
「ああ。コルクカン所属の第八部隊だ。いや、第八部隊の生き残りだ」
知ってる? とトウジを見たら知らないと首を振った。まあ、マニュアー乗りなのはわかったからそれでいい。
「よく生き残ってくれたよ。グージーのシャレインを見たら逃げてくれるかな~って思ったからさ」
「あれは、やはりわざとだったんだな」
「ああ。一人くらい死んでたまるかってヤツがいると思ったからな」
グージーが監視しているなら玉砕なんてしないだろうと思ったのだ。要塞を占拠しようってヤツならね。
「なぜだ?」
「マニュアーを乗れる者が必要だったからさ」
「グージーにもあるだろう。人型機動兵器アリュームが」
「へー。詳しいんだね」
「長く生きているからな」
ルクセルでは十年も生きられたら長く生きたことになるのかな?
「あれは頭にチップを埋めてないと動かせないものだから、この星の者には操れないんだよ。それに、あれは小さい。ボクが求めるものはマニュアーくらいのものなのさ」
アリュームはロボットってより強化装甲服みたいなものだ。稼働時間もマニュアーほどではないし、パワーもない。武器装備ありきの兵器なのだ。
「マニュアーならボクでも操れる造りとなっていて汎用性がある。それを操れる君たちが欲しかったのさ」
元の宇宙に戻るためのゲートは宇宙に築かないとならない。そのとき、作業出来るのはマニュアーがいいってことなのだ。
「ボクに従ってくれるなら食事を提供するし、この星に残りたいなら支援もする。ルクセル側が君らの返還を求めても拒否する。全力で君らを守ると約束しよう。どうかな?」
「わかった。従おう」
本当に決断が早いヤツだよ……。




