第229話 要塞都市
「レイさん。よろしいでしょうか?」
朝、ちょっと二日酔いにながら起きると、ハルジラさんがやって来た。
「ええ、大丈夫ですよ」
なにか緊急みたいな顔をしているので話を聞くことにした。
「要塞を占拠していた賊が退治されたそうですよ」
どうやらファンタジーに軍配が上がったようだ。剣王さんが活躍したのかな?
「ルジカン商会として要塞に支援って出せたりします?」
「……なにかお考えがおありで?」
「薬の効果を知らしめるいい機会だと思って。グージー商会と専属契約しません? グージー商会はルジカン商会にだけ卸す。値段はそちらにお任せしますので、儲けた分を麦にしてこちらに回してもらえませんかね?」
「薬はそんなにあるのですか?」
「たくさんあると値崩れするので一年で五十本に予備として十本。計六十本ってところでどうですかね?」
ボクは医療に力を入れようとは思わない。病気とかよー知らんし、熱意もない。やるのならもっと適切な人がやってくださいだ。
「そ、そうですね。確かにたくさんあれば値崩れは起こしますな」
「権力者に脅されたなら構わずボクの名を出してくれて構いません。脅してくるなら力で排除しますし、交渉してくるなら適切な値段かルジカン商会が有利になる内容にしたいい。グージー商会は麦が欲しいだけなので」
この地でルジカン商会が強くなってくれたらグージーとしてもありがたい。美味しい食材は宇宙技術でもなんともならんからだ。
「コールカン様に相談してみます」
ハルジラさんが駆けて行き、三十分くらいで戻って来た。コールカンさんから了承を得たそうだ。
荷馬車五台に食料と人を乗せ、慌ただしく出発した。
ボクらも全員で向かうことにし、途中で野宿して、昼頃に要塞が見えて来た。
あの要塞は、ここの領主が住んでいるところなようで、周辺には町もあった。
ただ、今は廃墟になっている。ルクセルの攻撃で人がいなくなったんだろうな~。
「要塞って言ってたから山の上に造られているかと思ったら湖の側にある結構大きな町だったんですね」
町ってより都市だな、これは。五万とか六万とか余裕で住んでいたんじゃないか?
「この国では平均的な町とされていますね」
これで平均的なんだ。まあ、王都が四百万人強の都市と考えたら地方はこんなものか?
「なんて名前の町なんです?」
「カルデンカという名ですが、要塞と呼んでいる人のほうが多いですね。そのほうがしっくりくるので」
確かにボクもそう思う。てか、なにに備えた要塞なんだろうか? この近くに大きい都市はなかったはずなんだがな……?




