第228話 宇宙ブランデー
トウジとハチヤの活躍は凄まじいものだった。
ハチヤのテレキネシスで麦をコンテナに積み込み、トウジのテレポテーションで山の山頂に跳ばす。山頂ではマニュアーが輸送用シャレインに積み込む。それを繰り返し行うと、一日で終了してしまった。
見ていたルジカン商会の面々など口をあんぐりさせていたものだ。まあ、ボクもSFパワーに唖然としてだがな。
「お疲れさん。これで終わりだから町でお酒でも飲んできな」
二人に五千ルクシェずつ渡した。
すっかり酒飲みとなった二人は喜んで出掛けて行った。根はガテン系か?
「レイ。荷物が届いたよ」
なにもしてないが、汗を流そうとしたらローサがフィービー(エアバイク)に乗って現れた。
ここは畑が多いので人の目は少ない。上空三十メートルのところを飛んで来れば騒ぎになることはないのだ。
背負っているバッグから瓶を出した。
「おー出来たんだ」
宇宙技術で造ってもらったブランデーだ。
前世、愛飲していたのがブランデーだ。これの味が忘れられなくてこの世界のお酒を飲む気になれなかったのだ。
この時代にも蒸留酒はある。が、あまり美味しくないんだよな。この体の味覚が前世の味覚が違ったからか? と思ったが、普通に葡萄酒が美味しくないから葡萄の品種の問題だろう。
その品種を宇宙技術でなんとか出来ないかお願いしていたのだ。
「ハール1がとっても気に入ったそうよ」
グージー側にも飲兵衛を生み出してしまったか?
「それなら増産してくれそうだ」
ハールはボクの次に戦闘位が高い。ボクとハールの名を出されたらマルシア(艦長代理)も否とは言えんだろうよ。
「皆で飲んでみようか」
ブランデーは三本持って来てくれたようなので、皆で試飲してみる。
借りている小屋で金属製のグラスにブランデーを注いで乾杯した。
「悪くはないかな」
VSOPに近いか? 若さはないな。技術力で熟成感を出せれるんだから凄いよな。
「かなりキツいね」
「でも、わたしは好きだな」
ジージーはお酒に弱そうでハラーシは強そうだ。ローサもちょびちょび飲んでいるところからして素養はありそうだ。
「樽でも買って熟成させてみるか」
すっきりしすぎて樽香がない。葡萄酒樽に入れて一年くらい後熟させたらいい香りが付くんじゃないかな?
「そう言えば、樽があったな」
葡萄酒樽が倉庫の陰に並べてあった。外に出してあるのだから中身は入ってないはず。
いや、町に行けば質のいい樽が売っているかな? まあ、今はこの味を楽しむとしよう。悪くはないんだからな。
次は冷やして飲んでみるか。
金属製のグラスを冷やして飲んでみた。うん。悪くはない。




