第227話 密造酒
そんなこともなかった。
アクアにいる二人分もあったからボクは五個しか食べれなかったよ。
「よく食べる連中だよ」
仕方がないのでトウジに町までテレポテーションしてもらう。まだ十八時くらいなで酒場とかなら開いているはずだ。
「そういや、ルクセルではお酒とか飲めたの?」
「上のヤツらは飲んでるって話だったが、おれたちは密造酒を飲んでいたよ。あんまり美味くはないがな」
「へー。密造酒とはね。そういうところもグージーとは違うんだ」
「グージーは酒を飲まないのか?」
「飲まないかったってよりなかったようだよ。グージーは頭の中にチップを埋められて感情の制御を行っていたみたいだから」
「あっちもあっちで酷いんだな」
「末端だからね。グージーの上も簡単に下を切っていたよ」
「クソだな」
「アハハ。まだルクセルのほうが人間的だな。悪態をつけるんだから。若いのは人形かと思うくらいだったよ」
長く生きないと自我が出ないのか? と思ったくらいだ。五十年以上生きてやっと自我が出るくらいじゃないか?
「そんなことも言えなかったのかよ。最悪だな」
「その分、今は人間らしくなっているよ。このまま人間でいて欲しいとは思うが、元の宇宙に返す約束したからな。願いを叶えるために動いているよ」
「おれは戻りたくないな。ここの食事は美味いし」
「じゃあ、次はどんなお酒が飲めるかを挑戦してよ。ルクセル人がどれだけお酒が飲めるか知っておきたいからさ」
もちろん、個人差はあるだろうが、一サンプルとして確認しておいてもいいだろうよ。
ちょっと大きめの酒場を発見。中に入ると半分以上は席が埋まっていた。
空いてる席に座り、給仕のお姉さんに五千ルクシェ分の食事とお酒を頼んだ。
感覚的には五千円分だったが、なんかとんでもない量が運ばれてきた。
「はい、お酒ね」
なんか二リットルは入ってそうな瓶がテーブルに置かれた。マジか?
「葡萄酒だよ」
「ハチヤも連れて来るんだったかな?」
「じゃあ、呼びますよ」
え? テレパシーまで使えんの?
「すぐ来るってさ」
本当に五秒もしないでハチヤが現れた。スゲーな! スペースファンタジーは最強かよ!
「酒ですか?」
「ハチヤもお酒飲めるんだ」
「はい! 密造酒を作ってました」
まさか作るほうだったとは。見た目、そんなことしなさそうなのに。
「そ、そうなんだ。まあ、まだ入るなら好きなだけ飲んでいいよ。ボクはいいこらさ」
「姉御は飲めないのか?」
「いや、飲めるよ。ただ、ここのは口に合わないだけさ」
前世でかなり高級なものを飲んでいたからあまり口に合わないんだよな。酸っぱかったり薄かったりしてさ。グージーの技術で造れるようになったら飲むとするよ。その頃には身体的にも飲めるようになっているだろうさ。
「ボクのことはいいから好きなだけ飲みな」
餃子五個しか食ってないからお腹が空いている。まずは腹を満たすとしよう。
一応、乾杯に付き合ったら食事に集中した。ここの料理、美味いからたくさん食うぞ!




