第224話 グージー商会
「こちらとしても麦は欲しいので相場より高めに買わせてください。輸送はこちらで行います」
「よ、よろしいのですか?」
「これには口止め料も含まれています。まだ年若い者がこうして交渉の場に出ていますからね。よい関係を築くためにも重要なことには口を紡ぎましょう。もちろん、法を犯すようなことはしません。ザンデカの町でも要塞占拠の件で協力させてもらいましたから」
「若い鍛冶師が剣王に協力したと耳にしましたが、あなた様で?」
ウワサ広まるの早っ! テレパシー送信されてんの?
「ええ。グージー商会の者でレイと申します」
ジージーとハラーシの二人だけを紹介しておく。重要人物と察せられるために。
「ボクは、グージー商会の会長補佐のそのまた補佐の立場です。外部から雇われたのでこうして各地を回る役目を負っています。口が悪いのはお許しください。柄の悪さに家を追い出された身なので」
前世の記憶を宿したまま生まれてごめんよ。ボクの分まで弟を可愛がってくださいませ、親父殿。
「あ、改めて自己紹介させていただきます。わたしは、ハルジラ。麦問屋、ルジカン商会の番頭をしております」
ハルジラさんは、四十手前だろうか? 極々普通な容姿で、なにかカリスマ性があるわけでもない。でも、忠実そうな雰囲気を出している。信じてもいい人の見本みたいなタイプだろうよ。
「もしよければ、これからお邪魔させていただいてもよろしいでしょうか? どのくらいあるか確認したいので」
あるのならさっさと買わしてもらおうじゃないか。のんびりしている暇なないんだからな。
「わかりました。馬車を用意します」
馬車? と思ったら問屋業をしている町に店を構え、倉は郊外に建てるそうだ。土地が高くなるって理由で。
ルジカン商会の倉は、町から馬車で二時間くらい。二時間進んでも麦畑って凄いよな。まだまだ畑は続いているんだから圧巻だな。でも、病気や日照りになったらどうするんだろう?
「かなりの倉があるんですね」
「はい。ミルジでも上位にいると自負があります。ただ、大きいだけに船を失ったのが致命傷となりました」
「船を所有していたんですか?」
「はい。ルジカン商会は元々王都に店を構える商会でした。何代か前に中堅所の問屋を取り入れて、本店をこちらに移したのです」
そういうこともあるんだ。素人考えだと王都に本店があったほうが便利だと思うんだがな。
「五十くらいありそうですね」
「はい。五十八棟あります。今は半分は埋まっていますね」
春と秋に収穫するのかな? だったら凄い量になりそうだ。
「買えるならすべて買わして欲しいね」
島に貯蔵庫は造らせてある。すべて買えるなら数年は困らないだろうよ。




